共に生きることを探求する Tグループ

一般社団法人日本体験学習研究所(JIEL:ジャイエル)では、グループダイナミックスの創始者と言われるK.レヴィンと研究仲間たちにより、1946年に創始・開発された「ラボラトリー方式の体験学習」を核として、人間関係のありようを探求するための公開講座や研究会などを開催しています。

1946年のワークショップから、NTL Institute(National Traing Laboratory)によりスタートしたT(トレーニングの略)グループを、長い歴史を経ながらも、一人ひとりの人間性や主体性を大切にした対話による集中的グループ体験を通して、違いを超えて共に生きることを探求する場を提供しています。

Tグループは、「ラボラトリー方式の体験学習」の中核部分をなすとともに、ラボラトリーはすべての参加者の学習ニーズを満たすように創り出そうとする、一つの仮住まいとしての共同体(community)であるとも述べられています。
参加者は、自分自身の行動が周りに与える影響や他のメンバーから受ける影響などについて、“今ここ”でのデータを把握し、防衛的にならずに、それらのデータを考察することができるようになれば、自分自身、他者への反応、他者の行動、グループのダイナミックスなどについて学ぶことができるのです。
ラボラトリーとは、実験室という意味ですが、それは参加者自らが実験者であり被験者でもあり、参加者が実験的にかかわりながら集団と個人のニーズを満たすことができるコミュニティづくりそのものなのです。そのために、グループは創造的で協調的で信頼に満ちた関係づくりに取り組み、その風土づくりのもとで、さまざまな行動を試みながら、新しい行動を習得していくことになるのです。

Tグループが日本に入ってきたのは、1949年、イリノイ大学Leeds,W.L.を招聘、九州大学を中心にグループダイナミックス研究と実践が始まりといえるかも知れません(日本グループ・ダイナミックス学会、1951)。
1958年夏、初めてTグループが、世界キリスト教協議会、日曜学校協会主催第14回基督教教育世界大会として青山学院で開催されました。清里で、第1回教会集団生活指導や研修会(Laboratory on the Church and Group Life)として人間関係トレーニング11泊12日。アメリカとカナダのトレーナーが来て、英語で開催されたそうです。
2年後、1960年第2回教会集団生活指導者研修会をアメリカからコンサルタント招き実施し、その後、立教大学キリスト教教育研究所(Japan Institute of Christian Education: 略称JICE)が長くTグループ実践と研究の中心となっていました。
JICEのスタッフの力を借りて、1973年、名古屋の地に南山短期大学人間関係科が誕生し、高等教育のプログラムとしてTグループが導入され、1977年に南山短期大学人間関係研究センターを創設し、社会人対象のTグループを南山短大でも実施するようになったのです。その後、南山大学に移籍し引きつづき、南山大学人間関係研究センターでTグループを開催しています。

JIELは、2015年4月に代表の津村が南山大学を退職することを機に、創設し同時にこれまでの経験を生かしながら民間機関でのTグループの開催を試みはじめたのです。
※テキスト:人間関係トレーニング第2版~私を育てる教育への人間学的アプローチ~(ナカニシヤ出版)
※テキスト:プロセス・エデュケーション~学びを支援するファシリテーションの理論と実際~(金子書房)

以下の講座をおすすめします

Tグループ(人間関係トレーニング)年4回開催
Tグループは、狭義には8人ぐらいのメンバーとTグループファシリテーター(トレーナー)で構成された話題も手続きも特に決まっていなく、グループメンバーの相互作用を通して活動を行うTグループセッションのことを指します。広義には、複数のTグループとトレーナースタッフ、運営スタッフなどを含めた合宿形式のすべてのプログラムのデザインと運営をTグループと呼ぶことがあります。このようなTグループの活動を通して、グループの中で自分を生かし他者共に生きることができるかを探求することが、チームづくり、組織づくりの基本的かつ重要な視点を参加者一人ひとりがもつことが可能になるのです。