引き出す、しみこむ
『実践人間関係づくりファシリテーション第5章「気づく」』の講座を終えたあと、梅酒をつけてみた。帰りに食材を買うためにスーパーに立ち寄ったら、入口入ってすぐのコーナーに青い梅と瓶が並んでいる。一仕事終えた安堵感から、梅酒をつくってみようか?という思いがふいにわいてきた。近くに置いてあるリーフレットを見ると、思った以上に簡単そうだ。実家では小さい頃、母親が梅酒や梅干しなどをつけていたが、自分でやってみようと思ったことはなかった。
青梅、瓶、氷砂糖、ホワイトリカーを買い込んで家に帰る。瓶はお湯で消毒し、水分をふき取る。念を入れてホワイトリカーを含ませて中を拭く。青梅は水に約1時間つけてあく抜きをする。青梅の水分を布巾でふき取って、へたを取る。あとは瓶に入れていくだけ。青梅を入れ、氷砂糖を入れ、そしてまた青梅を入れる。分量の青梅、氷砂糖を交互に入れた後は、ホワイトリカーを注ぎ入れる。ふたをして冷暗所におき、時々瓶をゆすって糖分を均等にする。3カ月くらいから飲めるが、1年置くとコクが出てくるそうだ。実家にあった梅酒はかなりつけこんでいた記憶がある。
しばらくたって瓶をみると、青梅が浮かんで氷砂糖が随分溶けている。青梅はやや黄味がかり、下の方の梅は表面にしわができている。しわがない梅の方がきれいに見えるが、しわは「糖の浸透圧」によってできるという。氷砂糖はゆっくりホワイトリカーに解けていくため、周りの糖分は徐々に高くなる。梅の実は、糖度濃度の高い液体に囲まれていると、水分やエキスを出して糖分をとかし、濃い方を薄めて濃度を一定にしようとする。梅の糖度濃度と周りの糖度濃度との差によって、梅のエキスがホワイトリカーにしみだしておいしい梅酒へと変化していく。
先日の講座「気づく」では、自己開示やフィードバックを通してデータを提供しあいながら自分自身や他者についてみえてくるもの、変化するものを味わいながら、気づきを深めていった。糖分の差で梅の水分やエキスがじんわりしみだしたり、水分やエキスが氷砂糖のしみこんだホワイトリカーに吸い出されたりと書いていると、相手のフィードバックから自分が見えてきたり、自分の自己開示が相手へのフィードバックにつながること、お互いの力を通して自己開示やフィードバックの幅を広げたり、見えてくるものが広がったり、深まったりすることがなんだかオーバーラップするような気がしてきた。こじつけだろうか・・・。
『実践人間関係づくりファシリテーション12講』は順次開催中。次回は7月4日「共に成長する」の担当だが、終わった後で新しいことをやってみる気になれるように、参加者の方といい時間が過ごせたなーと思えるように準備をしていきたい。他の講座もそれぞれ味わい深い講座ですので、ぜひご参加ください!