出会い、語らい、わかちあえた学びに感謝!

私がJIEL(日本体験学習研究所)の研究員になったのは、JIELが一般社団法人になる前の任意団体だった頃でした。当時、私は大学院生で大学院での「体験学習設計研究」などを履修しつつ、JIELの創立者である津村先生(つんつん)が学部で持っていた「人間関係プロセス論」の授業のTAを担当したり、JIELでの星野欣生先生の人間関係づくり講座のアシスタントをしたりして、「ラボラトリー方式の体験学習」とファシリテーションを学んでいました。そのうちに小・中学校での教員研修のご依頼をお受けする機会が増えてきて、経験を重ねるごとに怖気づかずにファシリテーションに取り組めるようになりました。

2009年にはJIELへご依頼いただいた某大学の集中講義の担当者を決めるために、希望する研究員は授業計画を作成してつんつんに提出し、つんつんと星野先生の審査を受けるという研究所内コンペがありました。その講義テーマは「アサーション」で、私はそのときに図書館で文献を借りて初めて「アサーション」を集中的に探究しました。調べれば調べるほど「アサーション」は納得できることが多く、人間関係の中で起こるモヤモヤした気になる現象の多くは、「アサーション」の3種のコミュニケーションタイプで説明がつくことに気づきました。そして、「今ここ」で何が起きているのかを把握するために「アサーション」は必要な方法だと確信しました。

以来、私は「ラボラトリー方式の体験学習」の実践・研究の傍ら、「アサーション」の探究にも取り組み、次第に自身が担当する研修・講座に「アサーション」を取り入れるようになり、2013年からはJIEL公開講座「アサーション・トレーニング」を開始しました。初回はJIELの講座では珍しいワンオペでしたが、定員いっぱいの皆様と学びをシェアできてうれしかったです。

そんな流れのなかで、私は2011年にマーシャル・ローゼンバーグの「NVC(Nonviolent Comunication)」に出会い、「アサーション」に次ぐ衝撃を受けました。どちらも感情に注目するプロセスの表現方法であるとともに、「NVC」は感情の源にある「ニーズ」に気づくことに重きをおいた体系的なコミュニケーション方法であることに感動しました。

「NVC」の学びと実践を地道に重ねるなかで、私は「アサーション」でめざす「アサーティヴなコミュニケーション」の方法が、「NVC」を実践している状態ではないかと考えるようになりました。そうした考え方のもとで生まれたのが「共感でつながるアサーション」です。2017年からはJIEL公開講座「共感でつながるアサーション」を開催するようになりました。

こうして振り返ってみると、私は自分の専門性をJIELの活動を通じて築いてきたことを実感します。JIELでの出会い、語らいを通じて、私の中で「アサーション」や「NVC」のような構成的な会話法へのニーズが高まり、それを研究・実践して、シェアする機会もJIELでもてたことがとてもありがたいことでした。

今年度の2月には「NVC」の修復的な対話法であるミディエーションを紹介するJIEL公開講座「共感でつながるミディエーション」を開催でき、さらに今はその学びを深めるために続編の講座の開催を計画中です。自身の興味・関心を探求し学び、わかちあうことを通じて、私たちは実践を積み重ねていくことができます。実践は気づきをもたらし、さらなる興味・関心を生み出してくれます。このようなサイクルの中で、つんつん亡き後も充実したときを過ごすことのできたJIELに、私は心から感謝しています。ありがとうございました!