「対話型アプローチによるチーム作り」研修では、ぐっとくるものが…

私と垣内さんで、2022年8月30日から9月2日まで東京女子医科大学病院 3医療施設合同研修としてAI(Appreciative Inquiry)アプローチを用いた研修を実施しました。この研修の目的は、「自己の役割を明確にして、組織の発展に目指した行動ができる」です。

ねらいは、「対話型アプローチ(AIアプローチ)やアプリシエイティブ・リーダーシップ(価値探求型リーダーシップ)の考え方を理解できる」としました。また、「チームの一人ひとりがイキイキと力を発揮し、ともに目指す自部署の目標を達成できるチームや職場づくりに向けて一歩踏み出す 」を目指して自部署の取り組みを行うための本研修として、4日間という贅沢な研修を行うことができました。研修生は、この研修が終わりではなく、この研修後に、自部署での取り組みを持って10月のフォロー研修、12月(まとめ研修)として活動報告を行う予定ですので、研修としては6日間の構成です。

コロナ感染拡大の中での研修実施であったので、過酷な医療現場であるにも関わらず、対面で実現したことは各医療施設の教育担当者の方々の尽力は並々ならぬ努力と各部署への調整の賜物だと思います。

今回の研修にあたり、病院側と何度か打ち合わせをする中で、どうしても対面にこだわった経緯がありました。この研修は2016年より、故津村俊充先生(つんつん)が大切にしてきた研修でもあり、昨年はコロナ感染拡大にて中止せざるを得ない状況でしたが、今年は是非開催したいと病院側の要望がありました。しかし、今年は、つんつんのプログラムをそのままするのではなく、当研究所でAIアプローチ基礎講座を担当している垣内芳文とも一緒にするにあたり、つんつんのプログラムをベースにしながも、2人でのあたらしいAIアプローチを用いたリーダーシップ研修にしたかったので、各会場別でのリモート開催にしてほしいとの病院側の要望もありましたが、対面にこだわって実施することにしました。

4日間の通いでの研修を1つの会場で実施できたことは、感染対策をしながらも、リモートでは味わえない場の空気感や研修生との関わりを通して、得たものを大変大きいと感じました。一会場で3施設の研修生が集まりそれぞれの病院の看護体制や病院機能の特徴を踏まえ、お互い知り合う機会になったことは情報交換をする場にもなりましたが、全体を通して様々な考え方や感じ方を持つ人との関わりを通して、より多角的であり、多様性を尊重しながら活動することの意味を味わうことになったと思います。

そして、2020年から続いているコロナ感染状況は、看護現場には様々な障害がありました。もっとも大きな障害は、コミュケーションの制限とともに人と関わることの制限です。休憩時間には、食事は黙食、そして勤務も終われば、できるだけ早く帰宅するなど人との関わりがなかなか持てない環境で、「ちょっと相談」、「軽い雑談」、「気楽に会話」を封じられてきました。もしくは、残業が続く、その中で、意図的に会話をする時間を持たないと職場は「ギスギス」した環境になり、多忙による「イライラ」がでて、豊かな人間関係を創る状況ではないと思います。職場では離職者も多く疲弊している様子が手に取るようにわかりました。その中でも一人ひとりの思いは、「患者さんに寄り添いたい」、「もっと看護を語りたい」「どうしたらより良い看護ができるだろうか」などそのために何ができるのだろうと模索していました。そして、「最高の未来像」を語る中で「イキイキ」「キラキラ」「仲間と共に看護を楽しみたい」と各グループからはポジティブな会話が多く聞かれました。

最終日には、リーダーシップを発揮してどのような職場づくりをするのかを、一人ひとり宣言している研修生を見ていた看護部長さんが、辛い状況の中でも前向きな言葉を語る研修生をみてぐっとこみ上げるものがあったようです。

私自身もこのような研修生を観ながら、AIアプローチを2016年から続けていることによって、ただ単にポジティブになるということではなく、しっかりとネガティブな思いに向き合い、その中に秘められた本当に自分のやりたかった事、人との関わり方を見つめることにより新たな価値を見つけて輝く光を見つけることができました。

また、病院の担当者の方には、私たち講師の名札と共に「津村俊充」と書かれた名札も用意してくれて、つんつんに見守られながらの研修を行うことになりました。

つんつんと共に

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