「ラボラトリー方式の体験学習」って、何なんでしょう?
この言葉と出会ったのは、1998年の第1回体験学習研究会全国大会でした。出会った当初は、よくわからなかった…その場にいる人たちが普通に使っているので、そういうものなんだなあ(ってどういうもの?)と、誰かに聞くでもなく、あれから早三十ン年。最近改めて考える…というか、ああ、そういうことだったのかも…と思うようになりました。
ちなみに、つんつん(故津村俊充JIEL所長)は、「特別に設計された人と人が関わる場において、“今ここ”での参加者の体験を素材(データ)として、人間や人間関係を参加者とファシリテーターとが共に探求する学習、である。」と言っています。
言ってることはわかるけど、もっとなんというかこの言葉自体の意味、といいますか…
で、話を戻しますが、…ああ、そういうことだったのかも…とはどういうことを思ったか、です。
まず、「ラボラトリー方式の体験学習」の「ラボラトリー」ですが、これはその前にある言葉が端折られています。
「ヒューマン・インターラクション・ラボラトリー(Human Interaction Laboratory)」です。「ヒューマン・インターラクション」が端折られているのです。そして、この「ヒューマン・インターラクション」こそが体験学習の肝!なのです。“Human Interaction”とは、「人と人との間に起こる相互作用」という意味です。
人と人とが出会い、言葉のやり取りがされ、その中で人は内面に様々な感情を体験するのです。そうして、やり取りが表面上では済まなくなり、関係性に変化が起きるのです。日常生活では、目まぐるしい勢いで喜怒哀楽さまざまな感情が沸き上がってきます。立ち止まってふりかえる間もありません。そこで、「ラボラトリー(Laboratory)」が必要なのです。
…つながりました!
「特別に設計された人と人が関わる場において、“今ここ”での参加者の体験を素材(データ)として、人間や人間関係を参加者とファシリテーターとが共に探求する学習、である。」
この説明には、「人と人との相互作用(Human Interaction)」のことが書かれているのに、肝心の言葉「ラボラトリー方式の体験学習」では端折られている、…だから自分の中に何かピンとこない違和感があったのだなあと、腑に落ちたのでした。
もうひとつ、「体験学習」であるということも肝!「体験教育」ではないのです。
「学習」といった場合、主語は誰でしょう?誰が「学び」「習う」のでしょう?「学習者」です。「教育」といった場合は、主語は、「教え」「育てる」のは、実施者、教授者なのです。つまり、「学習」は「学習者主体」ということです。学習者が自ら学び習う、このことを援助促進する役割を負っているのが、実施者なのです。だから、「援助促進(Facilitation)」する人、「援助促進者(Facilitator)」なのです。
ちなみに、英訳サイトで調べると、「体験学習」は“active learning”。
ここでも「なるほど、なるほど、そうきましたか!つながりますなあ…」とひとりニマニマと納得したのでした。
そんな「ヒューマン・インターラクション・ラボラトリー(Human Interaction Laboratory)」を「体験学習(active learning)」しに来ませんか?
12月に、Human Interaction Laboratoryの聖地、清里・清泉寮で第22回Tグループ(人間関係トレーニング)研修が実施されます。実施は決定していますが、まだ、定員にゆとりがあります。ぜひご参加ください。
→ https://jiel.jp/seminar-list/kouza03/17004/
<引用文献>
津村俊充(2019).プロセス・エデュケーション 改訂新版 金子書房 8