母の告白

8月3,4日の1泊2日で白馬村に母親と旅行に行ってきました。実は2人で白馬に行くのはおととしに続き2回目でした。おととしに白馬八方から第一ケルンまでゴンドラにのり、その先の八方池まで行くことを目的にしていたのですが、数多くの登山客のペースにのみこまれたためか、母親が「心臓が飛び出しそう」と言い、途中リタイアすることになりました。私自身も母親にあわせ、途中で下山することにしました。その後、体力をつけてまた今年はリベンジの登山でした。写真などでみる八方池の美しさを夢見て…。結局、今年はたどりつきました。途中、何度も母は断念することを口にしていましたので、荷物をもったり水分をとらせたりして、私なりにいたわっていましたが、ここまで来るのに準備を重ねたことを思うと母の泣き言にだんだん腹が立ってきて「ここまできたのに、根性なし」と言ってしまいました。母はその後黙ってのぼり続け、八方池までなんとかたどり着きました。思えば75歳の後期高齢者にいうべき言葉ではなかったと、申し訳なく思いましたが…
帰りの電車は落雷で送電線がきれたことが原因で中央線が1時間ほど止まってしまいました。そのときに、母親が「私は今までいやなことから逃げてばかりだった。」と話し始めました。高校の時に富士登山のためのトレーニングがいやでいやで体調不良といってやめたこと、遠泳も嫌でやめてしまったことなど…そういう途中でやめてしまうことが今までたくさんあったから、自分の子供たちにはそれではいけないと思って、途中であきらめるなと言ってきたと。確かにいやだからということだけで途中でやめてはいけないといわれてきました。ピアノも学習塾も受験も仕事もやめたいというと、よく怒られたり考え直せと言われたものです。母自身がそういう生き方をしてきたからと思っていたのに、まさかの反面教師だったのか…この歳になって知らされる衝撃の事実でした。ま、私が今までこうしてすぐにあきらめたりやめたりしないのは母のおかげではあるので、感謝はしております。
母は「いっちゃんのおかげで八方池まで行けたよ。もう白馬は行かなくていい、満足だ」と言っていました。いろんなプロセスはあったけど、コンテント的には課題コンプリートでした。