秋のはじまり

 先日倉敷の美観地区をふらりと歩きまわりました。古民家や蔵のある街並みを楽しみながら、興味ひかれるお店に立ち寄ると、つい財布のひもも緩みがちに。 
 ある民芸小物を扱ったお店で、額に入った作品に目が留まりました。どの作品も温かみとユーモラスな絵が印象的な型染絵の作品です。作家は「柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)」という方でした。お店ではこの地区と縁のある作家であることくらいしかわからなかったのですが、帰路スマホで検索すると、柚木沙弥郎の公式サイトによれば、1922年に画家の家に生まれ、美術史を学ぶため1942年に東京大学に入学。勉学は戦争で中断され、46年から大原美術館に勤務したとあります。また経歴の中には、和紙に大胆に民芸模様を型染めした暦に出会い、民芸運動のリーダーである柳宗悦の作品を読み始めたり、芹沢銈介のもとに弟子入りしたことが記されていました。そして今でも不定期に展覧会をされているようです。
 芹沢銈介と縁があったことを知って、一層身近に感じられてうれしくなりました。好きな作家とのつながりを知って、懐かしいような、妙に魅かれる気持ちに納得したり。
 私が買ったのは落ち着いた秋らしい色合いをした2羽の鳥の作品です。自宅に帰って早速壁に飾って楽しんでいます。倉敷の街歩きでは、藍の地に、色合いもきれいな曜変天目茶碗が角度を変えて表現された手ぬぐいも買ってしまい、こちらもあわせて飾っています。
 暑かった夏がようやく秋へと移り行くなか、家の中にお気に入りの作品があるとちょっと豊かな気分になります。過ごしやすくなるためか、少し新鮮な気持ちもわいてきて、何か勉強を始めたくなったり、出かけたくなったりします。ふらりとでかけていろんな出会いを楽しんでみませんか?JIELの講座にもぜひお越しください!