ブラ千葉

 ブラタモリが名古屋にやってきました。
 巷ではタモリさんが名古屋のことを馬鹿にしていて、だから名古屋にはやってこないんだ、といううわさがありました。これまで日本の各地をあちこち訪れていたのに名古屋を通過するのは腑に落ちない、おそらくブラタモリが最終回になるときに名古屋にやってくるのではないか、と私は勝手に想像していました。そのブラタモリが名古屋にやってきました。
 名古屋地域の視聴率は高かったようですが、それに貢献した一人が私です。名古屋生まれの名古屋育ちの私ですが、名古屋城から熱田神宮にかけてのブラタモリを見ていて自転車で出かけられるところに住んでいる私にとっても新鮮な話がいっぱいありました。清州から引っ越してきて名古屋が計画的につくられた町であることは知っていましたが、大阪の町と違ってあの碁盤の目(一つのブロックが約100メートルなんだとか)のどの方角にも建物の正面をつくり、ブロックの真ん中はお寺だったり、集会場だったりしたなどということは初耳でした(今は多くはタワーパーキングとなっているそうで・・・)。堀川は人工河川であることはわかっていますが、名古屋城のある台地のへりにつくったのではなく、へりよりも少し高いところを掘って、洪水のときなどに溢れないようにしたという話も初めてでした。住んでいる街なのに知らない歴史がある。

 

 日本のあちこちからお呼びの声をかけていただくことはありがたいことです。これまでいろいろな町を訪れました。先日は千葉に行きました。
 千葉に行くのは2回目だったのですが、先回は日帰りだったし、あっという間の滞在期間で千葉という町がどんな町なのかを感じることなく帰ってきてしまいました。
 今回はご依頼主様のご配慮で前泊することができました。ご厚意に甘えて少々早めに着き、ブラハヤシをします。まず名古屋との違いを感じるのは、道が入り組んでいるところ。名古屋の町に慣れているとすぐに東西南北がわかりますが、千葉はそういうわけにいきません。ちなみに人に道を尋ねられると「あの角を右に行って、その次の角を左に曲がって」といいますが、名古屋人は「あの角を東に行って、その次の角を南に曲がって」と東西南北を使うのが当たり前だと思っています。千葉ではそれは通用しません。
 駅前であっても町が凝縮している感じがあって、人は動いているのだけれど単位面積当たりの人の数が多く感じられます。つまりひしめき合っている感じ。外国人も多いようですが、どちらかというと東南アジア系が多い印象を受けます。おそらくこれは千葉市民の自慢のひとつと思いますが、世界一長いモノレールが走っている。電車と違って足のすぐ下は空間かと思うと遊園地の乗り物気分でそれだけで楽しくなりますが、おそらく千葉市民はすでにその感覚は慣れてしまっていると思います。
 駅の中心部を離れるといたって静かな住宅街です。私は山手のほうにはいかず、今回は海のほうをブラハヤシしたのですが、おそらく埋立地なのでしょう、新しい街づくりがされています。マンションが建設され、公園も整い、京葉線も走っているので、東京方面で働いている人がこうした新しい町に居を構えているのだろうと思いました。
 見知らぬ町に行くと地元のスーパーマーケットに行きたくなるのですが、ホテルの人に聞いても駅近辺にはないようです。デパ地下はあってもスーパーはないので地元の特色のある食べ物や商品が見られたらと思った期待はかなえられませんでした。

 

 こうやって自分の知らない町を歩いたりしていると、自分のことをよく知ることにつながると思います。住んでいる名古屋ですら知らないことも多く、そのことから自分のことを知る機会を増やすことができるわけですから、知らない町を、知らない人たちと短い時間であっても同じ空気を吸うことは自分のことに気づくことになると思えます。
 遠い名古屋の地から及びいただいて次の日は講習を行いました。立場としては講師ですが、それは受講生の皆さまとのバックグランドや経験の違いがあり、よその地からの違いもあって、そのことが受講生の皆さまの学びをより深いものにする機会にもなる、なればな、と思いました。