セレンビリティ
アクシデントは、“事故”と訳したりします。他に“偶然の出来事”、“思いがけない出来事”などという訳も辞書に載っています。「それは事故だったね」といったりしますから、偶然といってもそれはどちらかといえばネガティブな偶然といっていいのでしょう。
馬には失礼だと思うのですが、こうやって馬齢を重ねてきますとそんな偶然は数えきれないくらいあります。おそらく馬齢を重ねていない人であっても、偶然を積み重ねて人は人生をつくっていくのかもしれません。
偶然は、自分が意図したり、予期したり、想像・想定した範囲を超えて起こるものだとしたら、それがいつ、どこで、だれと、どのように起こるのか、人智を超えるところの出来事となります。そして、なぜ、それが今起こったのか。
フレミングがペニシリンをカビから抽出することに成功したのは、実験のために使う細菌を培養していたとき、細菌が繁殖している培養器のなかに青カビを発生させてしまい、使いものにならなくしてしまったことが始まりだそうです。
セレンビリティ。
ウィキペディアによると、「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること」とあります。フレミングのペニシリンの話は、セレンビリティとはどんなことかの例によくあげられるものです。
偶然ということであれば、いつもフレミングに偶然が訪れるというわけではありません。誰にだって、自分にだって偶然は訪れる。偶然の出来事がネガティブな偶然(アクシデント)となるのか、ポジティブな偶然(バイ・チャンス(by chance))とするのか。
人智を超えるところで引き寄せられるものと(引き合わせられるものと)、人智とが織りなす人が生きていく深みとか豊かさとかが、人生のストーリーをよりおもしろくしているように思います。
偶然は準備のできていない人を助けない(ルイ・パスツール)