フライパン

 内発的か、外発的かといえば、外発的です。

 うちのフライパンは長年の疲労からか、柄の部分がぐらぐらし、炒めものをするために柄をもってふろうとするとパンがぶらぶらゆれます。これではどうにもやりにくい。でも、まあそれほど困るほどのことでもない。使う段になって、これは使いづらいな、買い替えなくちゃな、とは思うけれど、それを目的に買い物に行くことはありませんでした。

この4月からの消費税アップという外発的要因は、今のうちに買っておくものはないかと血眼にならせるには十分でした。それだけを目的にいろいろ店をあたります。

フライパンといってもいろいろあるんですね。大きさはともかく、なんだかコーティングだとか、底辺が中華鍋のように丸いものや広いもの、値段も1,000円ほどのものから数千円するものまで様々です。こういう時のインターネットは便利です。現在使っている人の評価を検索します。すると、けっこう鉄製の評価が高い。鉄製は重いのでふりにくさはありますが、長持ちするし、鉄分を含んでいます。これはいいかも、と思って店で探し始めると、鉄製のフライパンは並んでいません。「金物屋さんに行けばあるんじゃない?」と人に教えられましたが、その金物屋さんは昭和遺産になりつつあって見つけられません。インターネットで探してみると、「魔法のフライパン」なるものがある。どんなんかな〜と見てみると、よさそう。でも値段は高く、それよりも納品まで30カ月!大人気商品です。さすがに30ヵ月間、ぐらぐらのフライパンを使い続ける気にはなれず、他をあたります。

続けてインターネットで探します。すると、私の家から近いところに業務用のフライパンを売っている店を発見。のこのこ出かけてみました。ずっしり重い。こんなのふれるかな、というのと、業務用なので柄の部分が鉄のまま。プロの料理人はそこをタオルかなにかでくるんで使うのでしょうが、家で使うには面倒。で、カタログを見せてもらい、柄が木でつくられているものを取り寄せることにしました。値段もそこそこですが、一生ものと思えばいいか、と。

鉄製のフライパンは洗剤で洗わなくていいんですね、知りませんでした。ずっしり重いですが、気に入っています。

優柔不断な私には、外発的な要因が背中を押してくれて動けることもあり、それはありがたいことです。内発的な面からすると底にくすぶっているものはあるようだけれど、それがマグマとなって噴火するまでにはいたっていない、ということがままあります。それがなんらかの外発的な出来事が刺激となり、誘発されて動き出す。

そう考えてみると、自分のなかにくすぶっているものを揺り起こし、活性化させる刺激に向けて意識を張る、動いてみて自分自身を気づかせる、ということもできそうです。秘めたもの、内にあるもの、自分ではまだ気づいていなかったものを、自ら、あるいは自らではないとしても外発の起爆に触れる、そして顕在化させる。体験することから学ぶこと、気づくことって、楽しいです。