初スキップ

 この冬、ほとんどの夜を寝袋で寝ました。

 寝袋は、学生時代に手に入れた羽毛の寝袋です。今でいうダウンです。それが今でも生きています。ダブルの構造なのでとても暖かい。

 寝袋で寝ると、蓑虫状態です。少しの顔の部分だけが開いていて、後は羽毛で包まれています。寒い夜には、さらに象足を履いて寝ます。象足はテントシューズのことで、これも羽毛なので足元もほかほかです。

 

 去年、ホームセンターでチューリップの球根を4コ買いました。庭に植えた球根に水も、肥料も、なにもしなかったけれど、見事に4色のあざやかなチューリップの花が咲きました。そして、花びらが一枚一枚落ち、枯れていきました。

 あれから一年、ふと庭を見ると芽が出ています、しかも4つとも。4つの球根は、冬を乗り越えました。放ったらかしにしてなんの手入れもしなかったのに、土をかきわけ、頭を突き出しています。毎日どのくらい伸びるか、いつごろになると花が咲くか、知らず知らずのうちに目が、気もちがそこにいきます、まるで子どもの成長を日々見守るように。

 

 運転をしながらラジオを聞いています。「さとみのそらシド」という気象情報を聞いています。気象予報士は佐々木聡美さんです。さとみさんが言います、「「さとみのそらシド」では幼稚園に観測所を設けています。観測所では今年の初スキップを観測しました」。

 

 蓑虫がそのぬくもりから頭を突き出す季節が来ました。