出雲・石見
11月に島根県に行ってきました。島根県立東部および西部社会教育研修センターのお招きを受けて、「コミュニケーション術実践講座」の講師を担当させていただきました。
1日目は、名古屋から新幹線に乗り、岡山駅で伯備線に乗り換え、松江泊です。松江に着いたころにはもう夕日も落ちかかり、暗くなりかけていました。ホテルで荷を解き、フロントで聞いた店に行こうと思いましたが、高校生のときに一人旅で来た松江城を見にいこうと思って人影が少ないなかを歩きました。松江は落ち着いた街です。松江城を見た後(もちろん、すでに閉城しています)、おなかが空いたのでなんだか惹かれる店に入りました。パンフレットには載っていない店です。
店のおばちゃんは、とても人のプロセスが観える人のようで、丁度のときにかかわってきます。飲み物にしても、つまみにしても、おしぼりにしても、こちらの気もちを読んでいるかのようです。おかげでおいしい酒と宍道湖の初物をいただくことができました。
翌日、ホテルまで東部センターの方がお迎えに来てくださいました。センターは出雲市にあります。センターには宿泊施設もあるにもかかわらず松江に宿を取ってくれたのは、松江、そして宍道湖を味わってもらいたいというお気もちからだと思います。迎えに来てくださった方が、私と間違えて他の人を乗せて行ってしまうというハプニングもありましたが、それもネタに使わせてもらい、東部センターの研修は無事終わりました。終わると浜田に移動です。宍道駅まで送っていただきました。
駅までの道中、ごいっしょしていただいた職員の方が、とても熱心に質問されてきます。この方は最初から最後まで研修に立会い、ご覧になっていた方です。任期を終えれば学校現場に戻られる方です。なにかひとつでもお役に立つことがあればと思いお答えしていましたが、20分ほどの駅までの道のりでは十分にお話しすることもできず、私は特急電車の人となります。
浜田駅に着くと、19時過ぎであるにもかかわらず西部センターの方おふたりがお出迎えです。ホテルでチェックインを終え、すぐに夕食におつきあいしていただきました。浜田の魚はおいしいです、刺身も、煮魚も、焼き魚も。ほんの数分前に初めてごあいさつしたばかりだったのに、なんだか熱い教育談義をしました、というよりおそらくおふたりが私に合わせてくれたのだと思います。そのうちのお一人は、浜田から小一時間かかる益田に住んでいらっしゃるのに、10時近くまでおつきあいくださいました。申し訳なかったですが、おいしいお酒になりました。
次の日の西部センターでの研修も終え、その益田から通っていらっしゃる若手の職員の方が浜田駅まで送ってくださいました。この方も教員です。東部センターから宍道駅まで送ってくださった方と同じように、いやそれ以上に熱心に質問をされます。浜田駅の駐車場に車を預け、私が乗る広島行きのバスが発車する直前までバス停で立ち話をしました。
私が感じるこのあたたかさはなんでしょう。私が講師として行っているからの扱いでしょうか。否、松江の場末の居酒屋のおばちゃんもあたたかい気もちにさせてくれました。
私ができることはなんでしょう。私ができること、あるいは私がしていかなければならないこと、それは伝えることなのではないだろうか、そう感じました。
これまでいろいろなところでファシリテートさせていただいて、今があります。まだまだ洟垂れ小僧ではあるけれども、伝えること、播くこと、育んでいくことも大切な、重要な役目なのではないか、その時機に来ているのではないか。
浜田発広島行きのバスは、山陰から山陽の山中にあるいくつものバス停に停まり、人を乗せ、走ります。まもなく広島です。