プエルト・モン
国内に限らず、国外でもツアーで旅行することはほとんどありませんでした。ガイドブックはとりあえず持ち歩くものの、とくに観光地を目指すということも少ないです。行き当たりばったりの出たとこ勝負で、当てもなく歩く、そんなのが合っているようです。
そうはいうものの、知らない土地で、ことばも通じず右往左往していると、心細い気持ちにもなってきます。そんなときに街の人が声をかけてくれる。名所旧跡の想い出はほとんどありませんが、地の人のやさしさやあたたかさはなぜか今でも残っています。
その時もそんな状況でした。
「そのメルカード(マーケット)ならあっちだよ」
道に迷い、どちらに行ったらいいかわからない、ぶつぶつ独り言を言っていた、そんなときに笑い顔で声をかけてくれたタクシーの運ちゃん。外国に行くとやおら人間不信になって防衛的になる小心者の私には、一滴の甘い蜜を舐めたかのようにこころがほっとする一時です。そんなことでその国の人が好きになり、その国が好きになる。マーケットで食べる貝がいっそうおいしくなる。
チリ中部のプエルト・モンで体験したことを思い出しました。
今回のチリ地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。