蝋梅の花が咲いたと思う間に白梅、紅梅が咲き始めました。
 蝋梅の花の色は、ちょうど和ろうそく(蜜ろうそく)の色に似ていて、よくその名をつけたものだと昔の人のセンスに感服します。
 冬の装いをしている、そんな色の蝋梅が、日を追うごとにあたたかくなることでその色を脱ぎ、白や紅の梅へと移ろっていく、その変化は私たちも衣を替えていく準備を促しているようです。
 他所に目をやれば、沈丁花のつぼみもほっぺたをふくらませたように、もうはちきれようとしています。その香りを嗅ぐことで、春の空気をいっしょに、一気に胸に吸い入れる、そんな時が近づいています。
 
 Chove chuva, chove sem parar… (雨が降る、とめどなく…)
 外の雨音に合わせてボサノバの曲を聞けば、春に向かわせるために一旦気を滅入らせるには十分なほどの気だるさを味わうことができます。
 春。