|論文等抜粋記事 「 Tグループの発達過程に関する研究(II)」南山短期大学紀要第11号、1983
本研究の目的は,Bradfordの学習動機の測定とその推移,Gibbの懸念の 測定とその推移,学習動機と懸念の関連性及び魅力の規定因の4点を検討する ことであった。 その結果は次のようにまとめることができる。 (1)Bradfordの学習動機については,使用した尺度のうち項目5「個人個人が自分だけの意見を強くおしだす」を除いて,篠原(1974)の結果と同様に3つの動機が高い信頼性で測定されることが見い出された。なお,項目5は学生の特徴として解釈された。3つの動機は,自我防衛の動機→グループ形成の動機 →相互啓発の動機に至るとするBradfordの発達過程の仮説を支持する結果が得られた。 (2)Gibbの懸念については,前回の研究(1981)と同様に,4つの懸念の測定は高い信頼性をもつことが明らかにされた。懸念の推移は,Gibbの発達過 程の仮説とは異なり,社会的統制懸念→目標形成懸念→データの流動的表出懸 念→受容懸念の順で低減していくと考察した。 (3)自我防衛の動機は受容懸念と,グループ形成の動機は目標形成懸念および社会的統制懸念と,相互啓発の動機は4つの懸念すべてと深い関連のあるこ とが見い出された。 (4)魅力の規定因としては,重回帰分析によって検討した結果,相互啓発の 動機にウェイトが大きく,次いで目標形成懸念と関連していることが明らかになった。