学びの秋
この夏の大きな出来事はやはり、入院と手術、療養でした。ゆっくり休みました。休
み過ぎてなんだか自分が世の中から必要とされていないんじゃないかというような思
いにとらわれておりました。しかし、体調の回復、行動範囲の拡がり、仕事復帰とと
もに、そのような思いも消え去り、元気に生きています。からだとこころはつながっ
ているんだなと実感しました。
6月から金沢工業大学虎ノ門大学院の「イノベーションファシリテーション特講」と
いう科目を履修しています。簡単に言えばフューチャーセッションのファシリテー
ターを養成するもので、『フュチャーセンターをつくろう』の著者である野村恭彦先
生が担当されています。2週間に1度、虎ノ門ヒルズを横目に見ながら、通っていま
す。もう何回か受講しているのですが、フュチャーセンターやフュチャーセッション
とはどういうものかを自分の言葉で表現することが難しいです。あえて言うなら、
「予測不可能な未来について、ステークホルダーが集い対話をし、関係性を構築しな
がら豊かなアイディアを共有し、アクションを支援する場」というところでしょう
か。今はその方法論を学ぶことに忙しく、なんのためにどうしてやるのかとかフュ
チャーセッションのスピリッツのようなところを理解できていません。自分がしてい
ることを信じて、学び続けるしかないと思っております。
先日、授業終了後に野村先生とお話しする機会がありました。いろいろお話ししまし
たが、一番印象深かったのは「ファシリテーターは多様なステークホルダーのみなさ
んをいかに愛せるか、が大事なんですよね」という言葉でした。私が今まで体験した
ファシリテーションの場に来られる方々はほぼ学びたい意欲を持ち、好意的に受け入
れてくれる方ばかりで、いつも受講生のみなさんに助けられていることを感じていま
す。しかし、フューチャーセッションはテーマに関心を持つ人という共通した事柄は
ありながらも、どんな背景やニーズを持った人が来られるか、あらかじめわかりませ
ん。どんな方であれ、未来の創造性を生み出す人として一人ひとりを大切にできる
か、いかに関係性を築いていけるか、とても難しいことです。そして、自分と意見や
感覚が違うことを排除したり批判するのではなく、豊かなアイディアとして認識し意
見を傾聴できるかがキーだなと思いました。
私はソーシャルワーカーとして、社会で起こっているさまざまな問題をいかに解決で
きるかに関心があります。そしてその手がかりとして、住民がファシリテーションの
視点を持つことだと思っています。そんういう私が多様性のある人々を愛せるのだろ
うか…自分の視野の狭さを思い知らされる秋の一日でした。