年末の体験から

 四十肩がなかなか治らないので、年末に近所の治療院にいきました。健康なので、ちょっと体調が悪いくらいで病院に行くことはないのですが、腕や指先の方までしびれるときがあり、これは尋常ではないと思い、やっと治療を受けることにしました。近所なのに、長い道のりでした。先生は「こんなになるまでよく頑張りましたね」とか「こんなに肩ががちがちで頭痛とか息苦しさとかないですか?」とかおっしゃるのですが、どうも私にはピンとこないのです。私は四十肩で肩が痛いだけで頑張ったという意識はなく、頭痛も息苦しさもありません。「はぁ、そうですかね〜」と中途半端な返事をしていました。先生が背中をマッサージしてくださったとき、私の背中がとても冷たくなっていたことがわかりました。マッサージのおかげで氷が解けるように自分の体温が戻ってくるようで、治療が終わるころには、頭痛がしてきました。今まで目に見えない硬い殻で覆われていたように感じました。傷つかないように、ストレスに感じないように、私のからだは薄い膜を何枚も重ねていって、それが殻のように硬くなったのかなと想像しました。その日の夜はよく眠れました。肩の痛みや手のしびれがなくなったわけではありませんが、自分のからだに意識が向くようになりました。これも先生にマッサージをしていただいたことがきっかけです。
 この体験は「他者の存在があるから自分に気づくことができる」ということを改めて考えさせてくれました。誰かのちょっとした働きかけやフィードバックは私を知る手掛かりになるということです。私は自分のことぐらい自分でわかっているくらいにいつのまにか感じていましたが、これからは他者のことばをしっかり受けとめられるようになりたいし、他者への働きかけやフィードバックをもっと丁寧に提供できる自分で居たいと思いました。それと、もっと自分のからだに向き合い、いたわっていきたいと思います。