コミュニティデザイン

師走に入り、何もかもがあわただしく動いているような気がします。私もそのあわただしい渦の中で振り回されているような気がする今日この頃です。

数か月前に山崎亮さんの「コミュニティデザイン」という本を読みました。山崎さんはランドスケープデザイナーでありますが、地域の問題をその地域の人で解決するための働きかけをしています。私が担当している授業の中で「福祉計画の策定方法」の箇所があります。市町村には福祉に限らず、医療や教育、産業、経済、環境、財政など、さまざまな計画を策定する義務が課されています。そして、たいていどの計画にも住民が参加することが規定されていますが、残念ながらまだまだ住民の声は届いていないし、ましてや参加していることは少ないように感じます。私は授業をするにあたり、教科書に書かれている内容は大切ですが、学生にはわかりづらいだろうと思い、山崎さんの本の中から、1章を読んでもらうことにしました。それは島根県のある町の総合計画を策定した時のことが書かれているものです。山崎さんは町長に「総合計画を住民と一緒につくることで、まちづくりの担い手を育てることが大切だ」と話し、それに町長も了解し、住民との対話を何度も重ね、チーム作りをしていきました。住民はわが町の将来を真剣に考えだします。そして「ひと」「暮らし」「環境」「産業」の4つのプロジェクトチームができ、さまざまなアイディアが生まれてきました。住民が作った町の計画は議会に提出され、「町政に対する批判でも要望でも陳情でもなく」行政に住民が協力を要請するという今までにない姿が現れました。学生たちには具体的な事例を読んで、計画策定に住民が参加することの意義を見出したようでした。山崎さんの行っていることは、住民たちに問題意識を持たせ、自分で考え行動していく方法を何度も伝えています。まさにファシリテーターだなと思います。

もともと体験学習は社会変革を目指して行われていたといいます。学生たちに社会変革を意識しながら関わっていきたいと改めて感じました。