日常の中のコンテントとプロセス
「人間関係を観る2つの視点」ということで、よく「コンテントとプロセス」の小講義を行います。
「何をしているか」というときの「何」に当たる「コンテント」は、仕事、課題、話題、結果等を指し、日常の中でも人は明確に意識しています。それは、人の言動や各種ツールによって表される目に見える部分だからということもあるでしょう。一方、プロセスは「どのようにしているか」という視点で現象を捉えるときの「どのように」に現れやすい人の気持ちや考え、価値観といった人間の中に内在するものや、仕事のやり方や手順等の現象を支えるものを指します。
コンテントとプロセスを意識するようになると、日常の中でもプロセスに敏感になり、「今、この人はなぜこんなことをやっているのかがわからなくて、懸念がいっぱいでそれを表明したいんだな」と思ったり、「さっきまで硬い表情だったけど、思わぬ自分の言い間違いで笑っちゃってからは、糸がほどけたようにしなやかにこの場の空気に順応できて安心」と思ったりします。一つひとつの事実や現象をコンテントとプロセスに分けて観るというよりは、事実や現象の捉え方が多面的になり、コンテントとプロセスの関係もわかってきて、日常の場面、場面がさらに楽しくなる気がします。楽しいばかりでなく、考えさせられたり、気づかされたり、次の行動を喚起されることも多々ありますが。
昨日、言葉を発するたびにみんなを笑わせていた人がいました。その人に「何か今日は調子がいいね。テンションが高いんですか?」と尋ねたら、「いや、思ったことを言っているだけ」と言われて、「えー、そんなにいつも楽しいことが浮かんでるんだ。じゃあ、どんどん言わないと」と思わず返しました。すると、その場にいた人が、「効率より楽しさのほうが大事?」と尋ねてきたので、私は「もちろん。笑って楽しく過ごして、幸せになるために生きているんだから、効率より圧倒的に大事」と瞬間的に笑顔で答えました。すると、その場はさらに笑いに包まれました。今、そのときのことを思い出して、本当にそうだなと思います。そして、きっとそんなときのほうが、そこにかかわっている人の仕事へのモチベーションは高い気がします。プロセスを大事にすると、コンテントにも良い影響が及ぶし、そこにいる人たちの幸福感も増していく。それが実感できた瞬間でした。