取材から見えてくる世界、描き出す世界
明けましておめでとうございます。
前向きな気持ちとは裏腹に新年早々、投稿が遅れてしまいました。しかし、遅れても投稿する姿勢でいきますので、今年もよろしくお願いいたします^^
JRが全国のシニア層を対象に「ジパング倶楽部」という会員サークルをつくっています。その会報誌「ジパング倶楽部 1月号」に、私の夫で金属工芸をしている水野正美・作のミルクパンが取り上げられています。昨年、水野くんから取材・撮影の話をきいて、彼の仕事を紹介したいという申し入れはあっても、ミルクパンだけを紹介したいという申し入れは、ごくたまに雑貨スタイリストや編集者の方等からあるくらいなので、わざわざライターとカメラマンが東京から取材・撮影に来てくださって、一体、どんなページができるのだろうと思っていました。
そして、取材・撮影を経て、年末に仕上がった冊子が届きました。「美しき日本の手仕事」というページに、「水野正美さんのミルクパン」と題して掲載された記事と写真は、彼の世界を彼がミルクパンをつくるプロセスから描いていて、ライターとカメラマンが関心を持って彼の世界を観てくださっていたことがよくわかります。見開きの記事を拝読して、ミルクパンだけに焦点化しているからこそ、描き出せる水野くんの世界があるのだということがよくわかりました。
そのライターとカメラマンは「おべんとうの時間」という本でおなじみの阿部直美さんと阿部了さんで、おふたりはご夫婦であり、了さんはNHK「サラメシ」の“おべんとうハンター”としても活躍している方です。私もライターとして仕事をしているので、おふたりの仕事に好感を持ち、「おべんとうの時間(2)」を拝読しました。これもまた、すてきな本です。取材対象者のポートレイトとその人のおべんとう、そしてその人のランチ風景とお話でワンセットになったページが39人分あり、39人の世界を覗いた気分になります。水野くんのミルクパンと同じで、おべんとうに焦点を当てることから見えてくるその人の日常世界があります。
普段、仕事をしていると、本当にさまざまな方々の取材をします。仕事によっては、取材時間の制限が厳しかったり、取材対象者のご本人が取材意図を全くご存じないことも珍しいことではありません。けれど、どんな仕事でもひとつの場を共にして、その方のお話を伺う機会を得られたのであれば、その方の世界に関心を持ち、その方の世界を味わいながら描いていきたいと思います。