コンテントとプロセス
「人間関係を観る2つの視点」ということで、研修の際にはよく「コンテントとプロセス」についてお話します。
人は仕事や課題(コンテント)に取り組み始めると、それに夢中になってしまい、そのときいっしょにかかわっている人たちの間でどんなことが起こっているのか、自分を含めてそれぞれの人たちはどんな気持ちでいるのかということに、眼がいかなくなりがちです。
実際、仕事を進めるうちに「どうしよう」と思う困った問題にぶつかり、ふとそれを口にしてみたら、「こうしたらどう?」という対処策をアドバイスしてくれた人がいました。ところが、その対処策は違和感を覚えるもので、素直に受け容れられることではなかったのです。そこで、自分が咄嗟に口にしたのは、「いや、そういうふうには考えられないですねー」という反論でした。すると、内容をめぐっての議論になっていきます。
けれど、そのときのプロセス、お互いの関係的過程を振り返ってみると、対処策をアドバイスしてくれた方は、自分の問題ではないのに、わざわざ口を開いて助言してくださったわけです。その親切な気持ちに気づいていたら、反論から始めることはなく、「気にしてくださってありがとうございます」とか、まずはお礼から始めていただろうと思います。
最初の一言がお礼であれば、その人とは異なる自分の考え方を伝えるにしろ、それは反論にはならず、自分の思いや考えをきいてもらう穏やかなひとときになったかもしれません。
話の内容(コンテント)に夢中になると、まさにこういうことが起こるのだと実感した出来事でした。プロセスを観る眼があれば、人との関係は変わっていくと思います。