カラス、なぜ泣くの?

目立つのは不動産屋とピザ。その他は寿司とかファミレスの宅配か、近所にできた喫茶店とか美容院とか。そんなチラシがほぼ毎日、しかも朝起きて郵便箱を見るとまず入っている。ということは、朝早くに入れられている、ということ。近所の家をみると、「チラシお断り」といった札が貼ってあったりするけれど、あれはどこかのホームセンターで買ってきたんだろうか。チラシお断り、としたいけれど、朝早くからポスティングしている人も1枚いくらで収入を得ているわけで、むげにするのもなんだか心苦しい。かといって郵便箱から引っこ抜いたらそのままごみ箱にいくわけだし、そもそもこんなに毎回ほとんど同じ内容のチラシを配って広告効果はあるのだろうか。少なくともここにこのチラシのところにはぜったい電話しないぞ、と決めている人もいるんだぞ。それにこれほど紙媒体で何度も同じことをすることは資源の無駄遣いではないか。

 

うちもとうとうやられた。カラスの野郎がごみ袋を漁りやがった。これまで一度もそんなことはなかったし、カラスそのものもこのあたりにはあまり出没していなかった。カラスは十いくつかの仲間の声を聞き分けられるそうで、それでどこかの市役所が「こっちに来るな」という鳴き声をスピーカーで流したらカラスが他のところにいってしまった、と聞いたことがある。でもそのカラスは他のところに移動しただけで、そいつらの片割れがうち近辺に現れたのかもしれない。
ご近所は続々と黄色のネットをあつらえ、ごみをネットのなかにおさめる。なぜあれが黄色なのか、黄色だからといって必ずしもカラスが嫌いな色ではないらしい。実際黄色のネットの外からごみ袋をつついているカラスを見たことがある。ごみ袋をなにかで囲むのがいいらしい。カラスは狭いところは苦手のようで、もしそこに入って羽でも引っかかって抜け出せなくなるといけないと思い、近づかないそうなのだ。それだったら段ボール箱の上と下を開け、その中に入れておいたら、とも思ったが、そうするとおそらく段ボールごと収集車にもっていかれてしまうかもしれない。これはいいと思ったのは、スーパーで買い物をするときのかご、あれを二つ用意し、ひとつにごみ袋を入れ、その上からかごをひっくり返してかぶせる、というご近所さんの家の前で見たアイデア。それはいいけれど、かごはいる。
どうしたものかと思っていたら、カラスは視覚でものを判別するらしく、ごみ袋のなかのごみをなにかで包んでしまえばカラスは見えないので大丈夫、という記事。そこで出てくるのは、不動産屋とピザ。場面や状況が変わると価値や意味が変わる。場面や状況や環境や、自分の考え方やものの見方を変えれば、価値も意味も変えられる。

 

今となっては郵便箱にチラシが入ってくるのが待ち遠しい。はてカラスが苦手なのは不動産か、ピザか、はたまた宅配寿司か?カラスに聞くしかないが、聞いたところでたぶん「カラスの勝手でしょ」というにちがいない。