グループプレセス・コンサルタント・トレーニング

 最近、私をかわいがってくれている先輩と久々に会いました。その時に「あいつ、どうしています?」と尋ねました。
 あいつ、とは私より3つか4つ年下の後輩のことです。性格は温厚、人当たりもよく、語学堪能、有能な後輩は今どうしているのか、気になって聞いてみました。
 「あいつなぁ、今はずされてるわ」。言葉に詰まりました。なんでも部下からパワハラと訴えられ、会社がそれを取り上げた結果の処遇だったようです。今、組織では上司が部下に対して下手な言葉をかけられない、だから上司はなにもいえない、なにもいわない、そんなことを他の会社の人と話すと、うちもそうだ、という返事が返ってくる、ということでした。
 こうやって書くと若い部下を一方的に悪者扱いにしてしまっている私のおじさんが出てきてしまうのですが、おそらく部下は部下で上司とどう関係をつくっていくか、どう関係を保っていくかといった懸念と苦悩にさいなまれている状況もあるのかもしれないのだろう、という思いもわいてきます。

 

 3月17日から20日の4泊5日でグループプロセス・コンサルタント(GPC)・トレーニングが合宿形式で行われました。14名の方が東京から、沖縄からと参加いただきました。コンサルタントと銘打っていますが、必ずしもコンサルタントの人たちばかりではありません。このトレーニング以前にTグループに参加したことがある人もいれば、私たちが提供している研修に初めて参加される人もいらっしゃいました。
 多種多様な人々が限られた時間と場ではあるのですが、その中で「組織活動」を繰り返します。コンサルタント役の人は、特にそこで起こるグループプロセスに焦点を当て、グループのダイナミックスをどう生産性や効率性につなげていくか、結果を出すか、そのチャレンジを繰り返します。アプリシエイティブな、ポジティブなアプローチでもって、いつ、だれに向けて、どのように働きかけるかを自分に問いかけ、やってみる、の連続で、終わった後はへとへとです。
 へとへとの後にフィードバックがされるのですが、私が感じる限りではこのフィードバックがあることでコンサルタント役の人は元気と勇気を充填できたのでは、と感じました。そこではコンサルタント役の人のプロセスを大切にする参加者の人たちのアプリシエイティブなかかわりがありました。
 こうしたセッションの積み重ねがまさにその場で初めてできた「組織」の成長を成熟へともたらした、という印象をもちました。その「組織」の成果物もとてもユニークなものが出来上がり、一時はどうなるものかと思った私の懸念はただの杞憂にしかすぎませんでした。チームのありようをもっと信頼せねば、と思いました。

 

 「目にみえるつらさと目に見えないつらさがあるんだよね。それを表に出すか出さないかだけです」
 今場所、優勝を逃した照ノ富士の両ひざからここ数年、サポーターがないのを見たことがありません。表に出すのがいいのかよくないのかはわかりません。でも、その人にはその人なりのありようがある。一所懸命のありようがあります。一所懸命になれる、一所懸命が報われる、一所懸命がなにかを動かし、変えられる。コンサルタントとしてだけでなく、GPCとして担える役割は幅は広い、そう思わせる体験でした。