玉ねぎは、富士の裾野の名産品(!?)

 居間の電球が切れたので近くの家電量販店に行くことにしました。その店は2階にあり、1階はスーパーマーケットです。
 スーパーを覗くと段ボール箱に山ほどの玉ねぎが。200円でビニール袋に詰め放題です。ビニール袋に手が伸びました。袋に玉ねぎをひとつ、ふたつと入れ始めます。
「はじめに袋を広げないと」
ととなりにいたおばあさんが袋の中に両手を入れ、伸ばすしぐさをして教えてくれました。なるほど!と思い、入れた玉ねぎを戻し、破れない程度に袋を広げます。ひとつ、ふたつ、みっつ、・・・。いつつでいっぱいになり、もう入らないと思ったら、袋が取り上げられました。
「旦那さん、奥さんにたのまれたんだろ」
旦那さん - 久しく聞かないことばに、旦那さんは電球を買いにきただけで、奥さんに頼まれたはずもなく、たまたま200円詰め放題に気が引かれただけで・・・。おばあさんはさらに袋を広げながら、「丸いのはだめ。先のとがったもの、もってきて」と。結果、ななつ(!)。

 

 9月17日から21日までTグループ・ファシリテーター・トレーニングがありました。参加された人は全部で8セッションの間に2回のTグループのトレーナーを体験する、それを参加した他の人からフィードバックをもらう、という内容です。参加された皆さんはすべてTグループを体験されていますが、トレーナー体験は初めての人がほとんどです。2回のチャレンジのなかでペアの人とどんなふうにしていくか検討をし、セッションに臨む、自分たちの役割が終わり、フィードバックをもらってセッションが終える、終わったのにその後もふたりになり、互いに語り合う。その語り合う時間が日を追うごとに増えていく様子を見ます。
 スタッフとして私もフィードバックをするひとりです。時間とお金を使ってここに来ている皆さんにできる限りのことはしたい、たくさんの学びを持ち帰って日常にいかしてもらえたら、そんな思いがあります。
 私は良かれと思い、袋を取っていないだろうか。ビニール袋を無理に広げようとしてはいないだろうか。玉ねぎをできる限り多く詰め込もうとしていないだろうか。丸い玉ねぎでなく、とがった玉ねぎを詰めようとしていないだろうか、今はいつつで十分なのかもしれないのに。

 

 「せめてお名前を」と聞いても「名乗るほどの者ではありません」と答えるだろうおばあさんは、振り向くことなくレジに向かっていきました。
 あれから1週間。我が家にはむっつの玉ねぎがねむっています。