線路は続くよ、どこまでも

 女性はそれほどでもないのかもしれませんが、おそらく“男児”の多くは電車の先頭車両に乗るとついつい運転手気分を味わいたくなります、それほどの“鉄ちゃっん”でもないのに。現在、週に1回、三河方面に行く機会に恵まれ、目的駅の改札口が先頭車両方向にあることもあり、なんとか前方の車窓が見える場所を確保しようと電車に乗り込みます。すでに先客がいると、ちょっとくやしい。以前、千葉の私鉄で運転手を募集したところ、700万円の費用負担にもかかわらず、中年の会社員の方が会社を辞めて応募した、というニュースがありました。よくぞそうまでして、と思うとともに、ちょっとうらやましい。私の友人の息子さんが運転手になりたくて鉄道会社を受けました。結果、遠隔地の鉄道会社に採用され、今はローカルの運転手をしているそうです。ゆくゆくは新幹線の運転手を目指しているのだそうで。ちょっとまぶしい。

 

 カナダで飛行機に乗っていました。機内アナウンスが入り、「コクピットのドアを開けますので、ご覧になりたい方はどうぞ」。大人気なくいそいそと飛行機前方へ向かいます。コクピットから見る空の青さ、雲の白さ。ちょっと感動。とても今ではけっして味あうことがないコクピットから眺める前方の景色でした。

 

 昔は車を運転するのも好きでしたが、最近はそうでもありません。むしろ助手席などにすわって誰かに運転してもらう方が気楽な気分です。たぶん、電車の運転手であったら、時間と時刻表と計器のにらめっこ、定期的な指差喚呼、駅の決められた停車位置にできるだけ近く、そして急ブレーキでお客に迷惑をかけないように細心の注意を払いながら安全運転を心がけているのだろうと思います。そう思うと、これくらいのカーブでは速度は落とさないんだ、とか今の停車のしかたはうまいな、とか傍から見ていてああだこうだと呟いているのが楽しいようです。第一、飽きたら本を読むのもよし、ボケっとするのもよし、寝てもいいわけなので。ちなみに電車の揺れは眠りを誘いやすいそうで、不眠症の人などのために揺れるベッドの研究をされている方もいるそうです。

 

 長い時間、パソコンに向かうような作業をするとき、YouTubeで路線名と「前面展望」を入力します。北海道から九州まで、本当の鉄ちゃんが気長にビデオを回し続け、電車の前面から見える光景を写します。ずっと見ながらではなく、音を聞きながら作業をします。まったくの静寂の中でやるよりは、はかどるような気がします。そして、そのビデオのなかでもたまにドラマがあったりします。そんなドラマをみたいときには見ることもできるし、眠くなったら寝ることもできます。
 それでは安全運転で出発進行!(ちょっと重たい?)