さくらさくさくらちるさくら

 おそらく英語だとすべて”fall”になるのではないか、と思います。でも、日本語は違います。

さくらは「散る」。つばきは「落ちる」。うめは「こぼれる」。ぼたんは「くずれる」。きくは「舞う」。

移り変わる四季に繊細に反応して、そこに起こっていることをありのままに表現しています。しかし、花が開くときはすべて「咲く」なのに、花のいのちが絶えるときにはそれぞれの表現が異なっています。私たちの心象は、はかないものにあわれを思い、見たものに対する思いにいのちを宿そうとしているように感じます。花そのものは時季を終え、またのいのちは翌年にしか出会いませんが、そのいのちは果てることなく、根や、茎や、葉がようようとつないでいきます。その全体がひとつのいのちとして脈々と生を育んでいきます。

庭のチューリップの花が咲き始めました。チューリップの場合は、「ひらく」がいいかな、「脱ぐ」がいいかな。3年目のチューリップです。