剪定

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 気にしてはいたのですが、ずーっと放ってあった庭の木を剪定することにしました。自分でやっ
てみようと思ってはみたものの、切り過ぎると枯れてしまうのではないか、とか、そもそも今の時
期に切ってもいいのか、といった不安もあり、業者さんに頼むことにしました。
 業者さんといっても、シルバー人材センターです。まずは見積もりに来る、ということだったの
ですが、先週の某日、なんの前置きもなくやってきました。
 庭を見て、木の数と種類を確かめたりして、これくらい、という数字が出されました。高いか安
いのかわからなかったのですが、専門の業者よりは半値近くらしいです。
シルバー人材センターだからといっても、なめてはいけません。いろいろ話をしていると、高校の
先輩ということがわかりました。卒業後、教育大に進み、教員になったのですが、当時にもあった
モンスター・ペアレントに嫌気がさし、教員を辞め、某大手メーカーに就職。その会社を早期退職
した後、離職者を対象とした造園を勉強する学校に入学。修了後、造園会社に入り、2年間勤務、
今日に至る、という経歴です。本当は樹木の剪定より庭師をしたいそうなのですが、ニーズはそれ
ほど多くはありません。確かにこのあたりでもマンションが増え、庭がある家は古い家だけだろう
なあ、と思ったら、このあたりでも蹲(つくばい)もあるような家がけっこうあるということで
す。そんな話を長々としているので、とうとうその日は遅刻してしまいました。
剪定当日、2人の方が来ました。剪定の仕事は、一人が剪定をし、もう一人が切った枝葉をまた細
く切ってごみ袋にいれる、という作業です。枝はどんどん切り落とされ、それがまたいくつかに切
られて、やがて10に近いごみ袋になりました。
人様に誇れるほどの庭ではありませんが、庭を景色として楽しむ、ということは日本を問わず、世
界の国々でもあることと思います。
家には楓の木があります。それが晩秋には真っ赤に色づきます。その木はばっさり切られ、風通し
がよくなりました。風にそよぐ葉を愛でるというのがいいのだ、といわれました。空間にあるもの
を視覚で楽しむだけではなく、楓の枝を揺する風の涼やかさを感じ、自然の移り変わりを感じる、
というところが日本ならでは、と思います。
「今から帰って、水風呂に入って、生ハムとビールだ」といって帰っていく大将のことばに、夏の
名残りの暑さを感じました。