清泉寮

清泉寮。
 1年に一度は訪れるこの場所は、私にとっては特別な場所です。本当のことをいえば、行く前は気が重かったのですが、そこにいると私はそこに同化します。
 研究会として各地から集まった気のおけない人たちが私を迎え入れてくれます。それはただ居心地がいいということではありません。私はそこにいますが、“私”はそこにいない、あるいはいなくてもいい。変な言い回しですが、そんな状態です。
 今回、私が一番影響を受けた、というよりも学んだのは、Sさんです。とにかくSさんはよく寝ていた、その寝っぷりがいい。いすに正座ですわって寝ているその寝姿。後で話したら、「私は寝にきた」といっていました。ことばは飾らず、直言で接する。“私”がそのまま私でいる。今が非日常ではなく、特別ではなく、日常であり、普段である。
 研究会の最後に行われた今回の感想をいう時間。そのとき彼女は話し終えて目頭を押さえました。もうこのヤローです。
 2泊3日のお仕舞いは、常道のソフトクリームをなめなめ、清里から日常へと戻りました。