グループプロセス・コンサルテーションへの思い
今日は9月24日。9月21日土曜日から始まったグループプロセス・コンサルテーションは4日目を迎えています。今回の参加者は関東から、中国地方からと集まった定員いっぱいの9名の皆さまです。
グループプロセス・コンサルテーションは昨年度から装いも新たな形で進められています。9人のうち一人がグループプロセス・コンサルタント(GPC)の役を担い、一人がオブザーバ役を、その他の7人が与えられた課題に対してプレゼンテーションを行うための話し合いを9セッション続けていく、という構造です。だからGPCは9セッションのうちの1回を担当し、それ以外はて交替してメンバーになる、あるいはオブザーバーをやることになります。
課題についての話し合い後にふりかえり用紙が配られ、GPCの主にタスクプロセスやメインテナンスプロセスにかかわる介入についてのフィードバックを行います。話し合いは50分。その後のフィードバックは当初は50分で組んでいましたが、実際には1時間10分から1時間40分近くまでかかり、夜のフィードバック・タイムには管理人さんから注意を受けるようなこともありました。
なぜJIELがこの講座を行うのか。
JIELはTグループのファシリテーター・トレーニングを行っています。これはもちろんTグループのファシリテーターを担えるようになるトレーニングですが、もちろんTグループそのためだけの人やグループとのかかわりや問いかけを学ぶ場ではありません。私たちの日常の生活で日々かかわりをもつ人とどうかかわるか、それをTグループという形のなかでトレーナーをやりながら起こっていることをどう見、どう扱うか、その影響はどのようなものかを互いにフィードバックしあい、ファシリテーション能力を高めるという意味があります。
GPCはファシリテーター・トレーニングとは異なりますが、構造は似ています。違うのはGPCには課題があり、課題を達成するためのコンサルティングが求められることです。つまり、課題達成を支援するためのコンサルタントとしての活動と、人やチームの成長を援助するファシリテーションの活動の両方をあわせもつ能力を高めるためのトレーニングといえるだろうと思います。
Tグループのファシリテーター・トレーニングが日常での人とのかかわりにつなげられるような思いがあるのと同様に、GPCも日常の生活を営む上で大いに活かすことができるトレーニングです。というのは、私たちが活きている世界は常に何らかの課題の達成が求められる、いえ、課題の達成がなによりも優先される、その達成の過程には必ず人が絡むのだけれど、そうして絡む人たちが過労死だとか、パワハラだとか、メンタルヘルスが扱われなければならないほどに身を削り、心を病み、疲弊した上の成果として達成されたりしている現実もある。もともと課題が達成されたことの成果物は、それにより世の中の人が喜んだり、うれしくなったり、楽しくなったり、そうして幸せを味わえるためのものなのだろうに、それが苦しむ人々があって私たちが享受しているとするならば、それを本当の幸せといっていいのかな、と思います。
「いただきます」と食事の前にいうことばは、食べ物に携わった人たち、そして食べ物そのものの命をいただくということだと聞きます。そうであるならば、私たちが味わう幸せは、それを味あわせてくれている多くの人やものからいただいているといえます。そうした人たちのなかに苦しんだり、病んでいる人がいるなんて。
GPCはコンサルティングのスキルを学ぶだけのものではありません。グループプロセスを扱うことにより、課題も人も大切にし、尊重するコンサルティング。そこには「いただきます」の思いが根底にあると思います。そうした思いを懐に、人一人ひとりを大切にする世の中を創造する、そこにグループプロセス・コンサルテーションの真髄があるのではないか、と思います。