令和3年度人権問題研修推進者研修(第3回)

テーマ
「人は、なぜ見た目で判断してしまうのか」
実施日
2021年11月29日 14:05~15:35
概要
 名古屋市教育委員会の主催により、名古屋市内の社会教育施設において人権教育を推進する職員を対象とした講演を行った。まず、偏見や差別が生じる心理の背景について「外見差別(ルッキズム)」を例に挙げて説明した。これは社会的なシステムや相互作用を通じて構成され、引き起こされる心理状況に他ならない。  そうした偏見や差別を越えて、人と人とがつながりを見出すコミュニケーションの方法として、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVC(Nonviolent Communication)を紹介した。自分とは異なる他者であっても、その人の感情とニーズに気づくことにより、人はその対象者を共感的に理解することが可能になる。違いを恐れるのではなく、違いに気づき、違いを共感的に理解することが、人権尊重の確かな一歩になることを伝えた。
派遣研究員
水野節子

講演では、まず偏見や差別が生じる心理の背景について「外見差別(ルッキズム)」を例に挙げて説明した。肌の色による差別や恐れは、たとえ子どもの正直な言葉であっても言語化されることで、偏見や差別の刃となることがある。それを言われた側が受ける影響の大きさは計り知れない。

そうしたメカニズムを押さえた上で、社会システムや相互作用を通じて構成される偏見や差別を越えて、人と人とがつながりを見出すコミュニケーションの方法として、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVC(Nonviolent Communication)を紹介した。感情とニーズの機能・関係を踏まえ、それに気づくことを「共感」と呼ぶNVCの概念と方法は、仮に偏見や差別をもつ対象者であっても、一人の人間として認め、その人の感情とニーズに気づくことで初めて成立する。感情とニーズに気づいたとき、それが自分とは異なるものであっても、人はその対象者の感情・ニーズとして共感的に理解することが可能だ。

このように違いを恐れ、攻撃、非難するのではなく、違いに気づき、違いを共感的に理解することが、偏見や差別を遠ざけ、人権を尊重する確かな一歩になることを伝えた。