小牧市立桃陵中学校 現職教員「人間関係づくり研修会」

テーマ
「共感でつながるアサーション」 ―「感情とニーズのリスト」を使って―
実施日
2021年5月20日 14:50~15:50
概要
 「人間関係づくり」に力を入れている桃陵中学校から、コロナ禍の緊急事態宣言下において、市の規程を遵守した一斉隊型(スクール形式でで着席)でできる体験型授業のプログラム依頼を受け、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVC(Nonviolent Communication)の感情とニーズの関係を踏まえた「共感のワーク」を行った。一人の先生が語った「授業中に教室で感じる自身の気になる感情」を題材に、全教員が一言ずつ聴こえてきた感情や聴こえてきたニーズを語りあい、本人のニーズへの気づきを含めて、最後はこのやりとりを通じて「満たされたニーズ」を語り合い、あたたかさに包まれた場になった。
派遣研究員
水野節子  オブザーバー:西森真紀

60分という限られた時間での場であったため、アサーションやアサーティブなコミュニケーションに活用しやすい方法だと水野が考えるNVC(Nonviolent Communication)に関する資料は事前にまとめて先生方に配布し、水野のオンデマンド教材(アサーションで親子のコミュニケーション力UP! https://www.youtube.com/watch?v=CJ-xLnKc-5g)の視聴と併せて、事前学習をお願いした。

当日は事前学習をしてきていただいていることを前提に、まず、二人掛けの机に向かう先生方が無言で向き合い、一人の先生が自由に動かす人差し指の動きに、もう一人の先生が寄り添って自らの指を動かすというフィンガーワークを行った。これは非言語ながら、NVCを用いた「共感でつながるアサーション」で話し手の感情やニーズを探る「他者共感」のひとときと同様だといえる。そこで、場へのチェックインとして行ったところ、どのテーブルでも自由で楽しげな指の動きが見られ、場が和らいだようだった。

その後の小講義では、事前学習で学んでいただいた内容に少し触れた後、適応行動が求められる現代において教員は感情労働に、生徒は感情作業に励まざるを得ない現実を解説し、そこでつぶれないために自分や他者のの感情とニーズに気づくプロセスを言語化する「共感でつながるアサーション」の重要性を解説した。

体験型授業の要として行った「共感のワーク」は、「感情とニーズのリスト」をご覧いただきながら行った。一人の先生が「授業中に教室で感じる自身の気になる感情」を語り、それを聴いた先生方が聴こえてきた別の感情を語った。順番に10名ほど語ったところで、その根底にあるニーズについて本人に語っていただいた。さらに、今度は聴こえてきた別のニーズを順番に10名ほど語っていただいたところで、出てきたニーズを味わう間をとった。

最後はこうしたやりとりを通じて、まだ話すことなく聴いていた先生方それぞれにご自身が「満たされたニーズ」を語っていただいた。すると、出てきたニーズは「あたたかさ」「成長」「愛情」「仲間」など、いずれもつながりを感じさせる心強い言葉だった。

コロナ禍でのスクール形式であっても、NVCの「ニーズリスト」を用いて全員で感情とニーズを探究する共感のプロセスを言語化したひとときは、あたたかさに包まれていた。