イーブルなごや 2019年前期講座
- テーマ
- 「アサーション入門 ―自他尊重のメッセージ」4回シリーズ
- 実施日
- 2019年5月31日・6月7日・14日・28日 10:00~12:00
- 概要
- 日常の人間関係の中で、私も、あなたも大切にするためのコミュニケーションの方法であるアサーション、NVCを学び合うワークショップ型の連続講座を行った。各回のテーマは次の通り。 第1回:アサーションとは 第2回:自分のコミュニケーションを振り返ろう 第3回:アサーティブに表現しよう 第4回:これからの生活に活かすために 各回とも、床にマットを敷き詰めて全員で大きな一つの輪になって座り、互いの顔を見合わせながら、ワーク形式で進めていった。
- 派遣研究員
- 水野節子
イーブルなごや(名古屋市女性会館)の公開連続講座として開催された本講座は、子育てにより休職もしくは退職し、復帰をめざす母親や、人生のセカンドステージ、サードステージに一歩踏み出した女性たちが集まり、年代を超えて自他尊重のコミュニケーションであるアサーションを学び合う場となった。アサーションの実践方法として、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVCを紹介したことが、本講座の特徴である。
第1回:アサーションとは
参加者が初めて出会う第1回は場へのチェックインとして、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVCから生まれたニーズカードを用いて、「私は何を必要としてここへ来たか」を全員に語っていただいた。「理解」、「コミュニティ」、「成長」、「調和」、「尊厳」など、人それぞれに自分がこれだと思うニーズカードを選んでいただき、そのカードをもとに語っていただいた。気持ちのこもった語りから、コミュニケーションがいかに暮らしの根幹をなすものなのかが共有されたひとときだった。
その後、アサーションの考え方の土台にあるコミュニケーションの3種のパターンを解説し、ワークシートを用いて人それぞれの回答をシェアした。
第2回:自分のコミュニケーションを振り返ろう
日常で攻撃的(アグレッシブ)なコミュニケーションをとったとき、あるいは非主張的(ノンアサーティブ)なコミュニケーションをとったときのどちらかの場面を振り返っていただいた。さらに、その場面での感情とニーズをNVCの「感情のリスト」と「ニーズカード」を用いて語り手に問いかけ、実際に語り手には内省していただき、ニーズに気づけるようなワークを行った。このワークを通じて、人が自らのニーズに気づき、それを他者に伝えることが「アサーティブ」であり、それができるとき、人は「自己一致」した状態であることをお伝えした。また、他者の感情やニーズを推測して尋ねる行為は、共感的理解のプロセスであることも伝えた。
第3回:アサーティブに表現しよう
第2回の講座で感情とニーズの関係を学び、ニーズを言葉で表現することがアサーティブだと知った参加者に、第3回はアサーティブな表現のためのコミュニケーションの4要素(マーシャル・B・ローゼンバーグ, 2018)を紹介した。このコミュニケーションの4要素は「観察・感情・ニーズ・お願い」であるが、それを「解釈・考え・戦略・強要」とそれぞれ混同することなく伝えられるように、実際に話しながら識別していくワークを行った。難しいワークではあったが、個人的な事例を語り、ワークにチャレンジしてくださった参加者の様子を真摯に見守り、学ぼうとする参加者各自の意欲が場に満ちていた。
第4回:これからの生活に活かすために
講座最終回はニーズカードを用いて、参加者全員がこれまでの自分が必要としてきたことを語るセッションと、これからの自分が大切にしたいことを語るセッションを行った。自分の感情に気づき、その根底にあるニーズを語る2つのセッションの実践は、参加者がアサーティブに向き合った体験に他ならない。
最後に本講座で満たされたニーズを参加者一人ひとりに語っていただき、4回シリーズの学びの場からのチェックアウトととした。
参考文献:安納献・監訳、小川敏子・訳(2018)マーシャル・B・ローゼンバーグ・著「新版 NVC -人と人との関係にいのちを吹き込む法」日本経済新聞出版社