社会福祉法人昭徳会 職員研修

テーマ
「クレーム対応のポイント ―共感コミュニケーション」
実施日
2019年2月1日14:30~16:30
概要
 対人援助を基本とする福祉や保育の現場ではクレームが起こりやすい。本研修は福祉現場、保育現場で職務に取り組む約20名の職員の皆様を対象に、クレーム対応の望ましい一次応答について学んでいただいた。研究員の水野は、マーシャル・B・ローゼンバーグのNVCの考え方をヒントに「クレーム対応の4step」というクレーム応答法を考案しており、研修ではそれを紹介するとともに、ワークシートを用いてクレームを受け付けた際の望ましい一次応答を学び、普段の対応との違いをふりかえって実践のヒントを得ていただいた。
派遣研究員
水野節子

 幅広い分野の福祉事業を手がける社会福祉法人の定期的な職員研修の一つとして、クレーム対応研修のご依頼をいただいた。時間は2時間と短いものの、福祉現場では対応が不充分だとクレームに発展する不満の声を職員誰もが受けやすい。そこで、実際に現場で不満の声を聞いたときに、どのような応答をすればよいのかを考えるヒントをつかんでいただける研修を設計した。

 まずは対人援助場面での不満は人それぞれ考え方・感じ方の違いがある限り、なくならないことをお伝えし、本研修の内容は福祉現場で働く皆様の日常のコミュニケーションに役立つことをお話しした。その上で不満とクレームは紙一重であり、利用者やご家族から寄せられる不満の声にいかに応えるかによって、解決困難な苦情を減らせるかどうかが決まることを説明した。

 これまでに受け付けたクレーム事例で各自が行った一次応答をふりかえった後。研究員の水野が考案した相手の感情とニーズに配慮するクレーム応答法を紹介し、具体的な事例を挙げて活用方法を説明した。さらにそれを踏まえて、状況別に記した不満の声に対する望ましい一次応答を選ぶワークシートに取り組んでいただいた。選択肢のなかには望ましい一次応答とは言えないが、受講者が「普段ならこう答えていた」というものもあり、気づきの多い学びの場となった。

 目に見えず、耳にも聞こえない心の動きや思考はどのような言葉で表現するかによって相手の受けとり方が大きく変わる。クレーム対応にはまずそうした意識が必要なことをご理解いただいた。