Reddyさんのグループプロセスコンサルテーション(7)

マネージャー、リーダー、ファシリテーター、グループプロセスコンサルタントと、いろいろな役割の名称があるけれども、どのような区別をすればいいのでしょうか?
Reddyさんは、メンバーシップを4つの基準から識別し、上記の4つの役割を分けようとしています。それは、メンバーシップとしてのバウンダリー(境界)が内部者か外部者か、そしてコンテントに直接貢献するか、心理的なメンバーかといった4つの基準です。
このお話は、実は、2008年7月19日(土)に「体験からの学びを深める教育ファシリテーション-ラボラトリー方式の体験学習を原点として-」と題して講演を南山大学で行った際に語りました。また、その講演内容は、「大学院の授業を聞きに行こう 南山大学連続講演会 講演集」(南山大学発行)で公刊されています。ご関心をもたれたら、これは、非常にマイナーな書籍ですので、私に直接ご連絡をください。
さて、話をもどします。
マネジャーは、課題の達成やプロジェクトの結果に責任をもっており、グループメンバーを公式に統制する立場です。マネージャーがいくらプロセスの知識やプロセス介入のスキルをもっていても、コンテントへの貢献が大切になります。よって、マネージャーは、グループ内部メンバーで、コンテントに貢献し、心理的な関係をもつ存在といえるでしょう。
リーダーは、グループメンバーから選ばれたとしても、あくまでもマネージャーからリーダーという任を受けて仕事をする者であり、課題や議題のセッティングや課題達成に向けて影響を与えることになります。リーダーは、会合を運営したり、タスク(課題)を達成するための専門的な知識やスキルを提供することを期待されます。4つの基準に従うと、マネージャーと同じ区別になります。
ファシリテーターは、Reddyさんの区別によると、一番あいまいな位置づけになっています。組織によっても、ファシリテーターの位置づけや役割は異なってくるでしょう。ファシリテーターは、メインテナンスプロセスに責任をもつように期待されることがあるものの、時にはリーダーと同様に、課題達成に責任をもつように期待されることもあります。それは、仕事の手続きや課題の機能に焦点を当てた働きを期待されるのです。また、しかし時には、メインテナンス機能にコメントすることも起こるでしょう。立場としては、グループメンバーの一員としての内部者であることもあれば、外から依頼を受け派遣された外部者であることもあります。ある企業では、コンテントに対して豊かな知識をもっていることを必要とされることもあれば、全くもっていない場合もあります。部外者であって、レギュラーなメンバーとして所属していないならば、心理的なメンバーシップをもたないことになるだろうとも書かれています。
グループプロセスコンサルタントとは、グループや一つのチームにずっと一緒にいると契約をした役割をもった人物であると言っています。少なくとも、会合には75%は出席をすると。今起こっているグループダイナミックスに対して、様々な深さのレベルで、タスクとメインテナンスの二つの機能に介入をする契約をしているのです。グループプロセスコンサルタントは、課題を達成することと、メンバーの満足感を満たすことの両方を支援することが仕事になります。Reddyさんは、メインテナンスプロセスへの介入がタスクの支援にもっとも効果的であると強調しています。結果として、グループプロセスコンサルタントは、メンバーとしては外部者であり、コンテントへの介入はせず、しかしレギュラーなメンバーとして、グループの中にいるかぎり心理的なメンバーシップをもつ存在であると述べています。
以上が、Reddyさんの語る4つの役割の識別です。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。