プロセス・エデュケーションが必要な訳(02)

前回のブログでは、「自分で考える」ことの必要性、アウトプットがよければ、それでよいということなのだろうかということを書かせていただきました。そこには、人間にとって学ぶことが大切であるという考えがあります。そして、学びはとは何かを考えておく必要があります。
人間が学ぶこと、それは環境の変化をとらえその変化に対応できるようになることといえるかもしれません。
アージリスとショーン(1996)は、組織における学習プロセスには、シングル・ループ学習とダブル・ループ学習があることを提唱しています。シングル・ループ学習とは、問題状況に対してある解決策(モデルや理論)が示され、その行為とその結果で学習が成立している学習を指しています。シングル・ループ学習とは、花を咲かせるには、水が必要であると学び、水を絶えず切らさないように水やりを続ける行為といえばよいでしょうか。しかし、水を切らさずやっているにもかかわらず、花が咲かないことが起こります。それは、光がどのようにあたっているのか、室温はどのように維持されているのか、など背景にある変数に気づくプロセスをダブル・ループ学習とよばれます。
ベストな結果が得られるだけの方法が与えられる学習では、環境の変化に気づき、その変化に対応できる学び方を学んでいるとはいえないでしょう。
ラボラトリー方式の体験学習の循環過程を学ぶことは、まさにダブル・ループ学習のアプローチを学ぶことでもあります。行為(体験)を通して、何が起こっているのか(結果の観察)に気づき、なぜその結果になっているのか(分析)と背景にある変数を考え、新しい行動仮設を立てて、学習を展開していきます。体験から学ぶということは、まさにダブル・ループ学習を学ぶ機会になっているのです。
このように学びは、他者から与えられるものではなく、自らが発見する過程を学ぶことであるといえます。