易経に学ぶファシリテーション(12)
■「陰と陽」の組み合わせで紡ぐ64のストーリー:六十四卦■
陰と陽のお話の続きです。すべてのものごと、できごとには陰と陽があるとのお話でしたが、まだまだ奥が深そうです。まず、それほど、単純に二面性でとらえるのは難しいでしょうというご意見も出そうです。人間の性格は、強いか弱いか、きびしいかやさしいかといった有無ではなく、少し強い少し弱いといったこともありそうです。
そこで、陰と陽を2種組み合わせて、4種類を作り、それでも単純すぎると言うことで、3種を組み合わせ8種類に分けたようです。それを、「八卦(はつか)」とよぶそうです。
それを、乾(けん) 兌(だ) 離(り) 震(しん) 巽(そん) 坎(かん) 艮(ごん) 坤(こん) 名付けています。それらを自然現象に配して、天(てん) 沢(たく) 火(か) 雷(らい) 風(ふう) 水(すい) 山(さん) 地(ち)と振り分け性質を示そうとしています。それぞれ8つに意味があるのです。詳細は、アッコちゃんの著作(2012&2014)をご覧ください。
そして、さらにその「八卦」を二つ重ねて、8×8の卦を作って、六十四卦が作られて、人間に起こりうるあらゆる時の物語が書かれているとのことです。まだまだ私には読み込めないほどの深さです。ただ、時の物語の時には、いわゆる時間としての時だけでなく、もっとストーリーとしての時が含まれているのです。たとえば、うれしかったときや苦しかったとき、どのような状況や環境で、そこに誰がいて、自分はどのような立場であって、そこでの人間関係や心理状況はどのようだったのか、そしてその結果はといった一連のシーンが時として刻まれているのです。
易経が教えてくれる「時」には、「時・処・位」が含まれているのです。「時」とは時代や時間の変化、タイミング、「処」は場所、環境、状況、心の状況、「位」は立場、地位、人間関係をさすそうです。かなり深みにはまりそうです。
ここでは、一人ひとりの状況を理解するときに、この3つの視点から彼・彼女が置かれたシーンを理解するようにしたいものです。まさに、人は「時・処・位」の複雑の様相の中で生きているのです。グループ体験を語ることも、またグループ体験の中で語られる参加者の生き様も、まさに「時・処・位」から一つのシーンとして理解することが大切なのでしょう。
そして、易経は、それぞれのシーンにあわせた対処の仕方も教えてくれるのだそうです。これから学んでいきたいと思います。