生涯学習相談員ボランティア養成講座
- テーマ
- 第1回:聴くこと
第2回:コミュニケーションとは ~価値観について~ - 実施日
- 2017年6月27日13:30~15:30(第1回)
2017年7月4日13:30~15:30(第2回) - 概要
- 名古屋市内の生涯学習施設や生涯学習センターにて、生涯学習を希望する市民の相談対応に当たるボランティア養成のための研修を行った。全2回の研修は、相談援助職に必要な聴き方、話し方を学ぶ第1回と、価値観の異なる他者との話し合いを円滑に行うための第2回で、いずれもラボラトリー方式の体験学習を用いて行った。楽しく充実した実習体験から、各自に必要な学びが得られる研修となった。
- 派遣研究員
- 水野 節子
第1回のテーマは「聴くこと」で、最初に「きく」と一口に言っても「聞く」「聴く」「訊く」といろいろなきき方があることをお伝えし、円滑な相談援助業務には相手の意図をくみ取ることができる聴き方とともに、相手が話しやすい尋ね方をすることも大切であると話した。
それらを実行するためには、相手の様子をよく観ることが必要であり、第1回の研修では「たずねる、こたえる、みる」という実習を行った。この実習では全員が3人組になり、「きき手」「話し手」「観察者」の役割を交代で1回ずつ体験した。それにより、人に話を聴いてもらうことの喜びや、人の話を聴くことにより、その人の経験や個性に触れることができ、お互いの認識や関係が深まる実感を持てたようだ。また、観察者からのフィードバックにより、強化するとよい自らの「きき方」「話し方」の長所とともに、改善点も知ることができ、実践的な学びが得られたようである。
第2回のテーマは「コミュニケーションとは ~価値観について~」ということで、人間の価値観は人それぞれに違うことを話し、その異なる価値観を乗り越えて協力、合意、協働といった歩みを進めるためには、対話が必要であることをお伝えした。その上で、合意形成の実習を行った。
その実習は多様な状態で乗り込んだ人々がいる電車のなかでの一場面を問題にしており、身体状況、思惑、年齢とすべてが異なる登場人物の言動に対して個人的な好感度により、まず順位付けを行った。続いてグループ全体で話し合い、合意によりグループの順位を導く実習であった。どのグループからも、登場人物に対する意外な洞察を語る声が聞かれ、各人の洞察力の深さとそれをめぐる多様な価値観が垣間見られた。話し合いにおいては、穏やかに聴き合う様子が見受けられたものの、制限時間内には合意形成に至らなかったグループもあった。聴き合うことで満足するか、制限時間内での合意形成へ意欲をもつかは、結果的に大きな違いを生むことになる。実習後のわかちあいでは、そうしたことも語られた。