無駄な応援!?

 お店に入って、店員さんが気持ちのよい接客をしていたり、他にはないおもしろい商品を取りそろえていたり、店内の雰囲気がよかったりすると、お店や店員さんを応援したくなることってありませんか?私は働き始めてから特にそう思うようになった気がします。それは仕事の大変さを知って、違うフィールドとはいえ一生懸命仕事をする姿になんだかシンパシーを感じるからだと思います(仕事で大変な思いをしていると他の人の大変さに共感したくなるのでしょうか…)。お客さんが少しでも快適に過ごせるように、お客さんに満足してもらえるように、働く仲間同士気持ちよく仕事ができるように、少しでも工夫できることはないか思案したり、よくしていこうという気持ち。そんな一つひとつの積み重ねって、なんだかとてもじーんとくるのです。
 先日そんな話をしていたら、「おまえは無駄に応援していることがよくありそうやなー」と言われて、びっくり。その人は私のことをよく知っている人なので、私を否定しているというわけではなく、私のかかわりや人となりをよく知っていての発言なのです。そうかー、無駄な応援!?かあ…。
 小さい頃家族旅行で、ある郷土資料館を訪れました。旅行から帰った後、展示品について質問する手紙を書いたところ、学芸員の方から便箋にびっしり書かれた手紙をもらって感動したことがあります。その体験から学芸員という職業を知り憧れにもなって、美術館の学芸員をつきたい職業として考えていた時期もありました。私のかかわりから来館者に好きな作品ができたり、展示品を取り巻く文化や歴史に関心を持ってくれるようになったら素敵だなーと思い描いたりしました。
 働き始めて10年くらいたったころでしょうか。キャリアデザインの仕事にかかわることがあって、自分のことをもう一度ふりかえってみたときに、私は「いいところを見つけて伝える」ことにかかわる仕事をしてきているなあと思いました。
 体験学習にも同じようなところがあると感じています。体験学習では、自分や相手のことを見て気づいたことを伝えあうことがお互いの学びにつながります。その際に、評価をしないでありのままに伝えることを大切にしています。悪いところを見て指摘するのではなく、お互いに気づき、学びあう存在として、一人の人として尊重し相手の可能性を信じています。このような姿勢が私の琴線にふれて、だからこそ私は体験学習に惹かれているのだと思います。
 誰かのいいところを見つけて伝えると、相手もうれしい気持ちになる。一つひとつの積み重ねがお互いの関係やその場を少しずつ変えていく。体験学習は、そんな丁寧なかかわりに取り組んでいく学びだと改めて感じています。