武士道

 最近のニュースを見ると、交通事故でひき逃げをする事件が多いような気がします。場合によっては、ブレーキを踏んだ跡もないというケースもあります。町には当局が立てた「目撃者を探しています」の看板をよく見かけます。詳しく調べたわけではありませんが、昔よりはその数が増えているような気がします。本来ならすぐに救命に向かわなければならないのに、どうして看板の数が増えているのでしょう。

 「なにを大切にしたいか」という問いに学生の一人が答えたのが、「武士道」でした。「武士道ってどういうこと?」と聞くと、「この前の大震災のときに、日本人は暴動も略奪も起さなかった。それが武士道」と答えてくれました。

 暴動も略奪も起こらなかったことに対して、世界は称賛(?)の声を上げました。しかし、さだまさしさんは、「驚くことでも、ほめることでもない。当たり前のことだ」と某番組で言っていました。確かにそう思います。人として当たり前のことなのに、それが称賛の的になること自体がおかしいのかもしれません。

 国会議員は代議員です。代議員は、私たちの声を代弁するために国会で論をはります。今の総理大臣が適任か、責任の遂行能力があるかは、私はわかりません。ただ、スピード感が足りないと言って退任を迫る、そのどたばた劇がさらに日本の復興を遅らせることになりかねないということは、私でもわかります。

 日本に、日本人のもつ当たり前の「武士道」が失われつつあるような気がします。この混沌とした時代に強力なリーダーシップをもつリーダーを渇望する声が聞こえます。確かにそんなリーダーが求められている時代かもしれません。そのなかで今、私たちは私たちの「武士道」を考えることが求められているように思います。