催花雨

 春の雨、一雨ごとのあたたかさかな
 今日3月1日は、小雨そぼ降る一日でした。
 この時期には、激しい雨よりも今日のような小ぬか雨のほうが風情があるように感じます。一雨
ごとにあたたかさが増していく、その情景は急な変化がもたらすものではないほうがよりあたたか
さを感じやすくなるような気がします。
 去年の6月ころ、枝豆を植えました。まったくの素人でなにもわからなくて、ただ植えたら芽が出てくるだろうくらいだったのですが、本当に芽が出てきたときにはなんともうれしい気持ちになりました。それからは顔を合わし、にこっとあいさつするのが日課となります。やがて収穫の時期を迎えると、これがけっこうざるに溢れました。これを茹でてビールといっしょに食べたら、なんとおいしいこと。
味を占めて秋口に庭に春菊とカーネーションを植えました。
春菊は、冬の鍋で食べたらおいしいだろうな、と思って植えました。が、ひょろっと土から顔をのぞかせたくらいまでで成長を止めてしまいました。枝豆は放任だったのですが、春菊はそうはいかなかったようです。しかし、カーネーションは地表を突き抜け、ぐんぐん空に向かっています。 
 草花の成長は目では追えない。しかし、確実に成長している。それは雨が降り、雨が降り、教えてくれる。雨が花を催す。
きっと人の成長もにわかには見えないけれど、雨がその成長を催すのだろうな、と思います。
催花雨(さいかう)の一日、一雨(ひとさめ)ごとのあたたかさへの一日。