アジアカップから

 サッカー・アジアカップの日本優勝、まずはおめでとうございます。
 決勝の李選手のボレーはとても美しいシュートでゴールポストに入っていきました。あっぱれ、でした。
 翌日の新聞を見たり、テレビのスポーツ番組を見ると、ザッケローニ監督を褒め称えるコメントが多かったように思います。控えの選手も含め、選手のコンディションや様子をよく見て、活用する、その一人が李選手だったそうです。
 もうひとつ、印象に残ったコメントがありました。それは監督が選手の言うことをよく聴く、ということです。
 後半で監督がひとりの選手の交代を告げたときに、ピッチの選手たちがやり取りをし、交代しようとしている選手をベンチへ押し返したのだそうです。通常では考えられないことです。絶対である指揮官に対して選手がそれを制し、監督はその選手の意を受け入れた、ということです。
 結果、流れは変わり、李選手のゴールにつながった、と新聞は解説しています。「最終的に決めるのは監督。でも、選手のいうことを受け入れてくれる」と遠藤選手は話しているそうです。
 先日、組織開発(OD)の講演を聞いてきました。時宜を得た組織に変革していくためには多くの人が参画し、それぞれの人の尊厳が大切にされる必要があることを学びました。そして、組織のトップがその組織変革に同意していないとうまくいかない、という点も理解できます。組織が変わっていくためには、トップの人の思いや旗振りだけではむずかしく、日々の現場や現状をよく知るピッチで動いている多くの人たちの思いが受け容れられ、反映されること、すなわち、組織のなかにいる人たちの信頼関係と対話が必要なのだな、と思いました。そこにあるのは、組織のなかでの役割や立場の違いのみであり、組織に所属する組織人としてそれぞれがどう現状と未来を認識し、目指すところを共有し、それぞれの役割に帰って行動できるか、ということなのだろうな、と思いました。
 エジプトで大規模なデモが起こったのは、その数日後です。