Tグループの事務局はどこへ向かうか

 去年の2月のTグループと同様に、今年の2月の清里でのTグループでは事務局でした。
 今年のTグループは15名の参加者を迎えることができました。2グループでの実施となり、トレーナーは各グループに2名で計4名、オブザーバー希望者がそれぞれのグループに対して各1名ですので計2名、そして事務局研修に応募された人が1名となり、スタッフとしては私を含めて8名の大所帯となりました。
 JIELが発行しているプログラムガイドにもありますが、Tグループに参加する、Tグループのファシリテータートレーニングに参加する、Tグループにオブザーバーとして参加する、そしてTグループの事務局として参加する、といった一連の順序があります。その順序に特に定まった決まりはあるわけではないし、明確にされてはいませんが、しかしそこにはそれなりの理由や背景があると思います。
 グループにおける自分自身のありようやグループの発達を体験する、ファシリテーターとしての体験を積む、観察する視点やポイントをつかむ力を養う。それぞれの講座にはその講座の、それに参加する人の思いやねらいがあります。事務局に研修者として入る意味はなにか。
 事務局はTグループの期間中に事務仕事をします。事務仕事とはなにか。それは今回の場合ですと滞在先である清泉寮とのやりとりもありますし、参加者の受け入れから日々の生活に気を回すことなくTグループに集中できるような環境をつくることもありますし、スタッフに対してもそれと同じように目や気を配ることもあります。資料づくりもあって、リンゴもむくのも事務局の仕事ではあります。
 Tグループに事務局として参加する意味はなんだろうか。事務局として参加し、事務局研修者を受け入れて、彼彼女とどのようにかかわることが求められるか。
 事務局の役割が事務方の仕事だけだとすると、それはそのような位置づけになるでしょう。事務局はスタッフからの資料づくりや会場の設定だけをその業務範囲と認識することもできます。もちろんそこからTグループの状況や流れを知り、学ぶこともできます。ただそれだけではもったいないような気がします。
 事務局はTグループのセッションには参加しません。だから参加者一人ひとりの様子や状況を知ることがむずかしい。それを知るのはせいぜい食事のときや全体会のときだけです。あとはスタッフミーティングで語られるそこで起こっているスタッフのことばを通して知るのみです。でもそれが大事のように思います。
 スタッフミーティングで語られるトレーナーやオブザーバーの人たちとのやりとりからトレーナーはなにを見て、何を語ったか、その意図はなんだったか。オブザーバーは何を見て、どう感じたか。直接はこの目に見えないものを見る、見えるものから感じる、そこから次に起こるだろうことを読む、プログラムとしてなにを提供することがよいかを図る、プライベートな時間への参加者とのかかわり方を考える、スタッフの気持ちを汲んでその“役割”に集中できるようなかかわりを試みる。
 事務局だからこそできることがある。それはなにかを見つける。そしてTグループ全体を観る、扱う。事務局としての役割、おもしろさ、そして醍醐味はそういったところにもあるように思います。だから事務局研修を希望した人にもそれを味わってほしいと思います。
 事務局という名前だから事務の元締めのような印象を受けますが、私としてはスタッフを含めたTグループの全参加者に対するファシリテーターだと思っています。Tグループ全体の運営を“牛耳を執る”ファシリテーターととらえています。直接にはかかわることがほとんどないけれど、気にする人もほとんどいないけれど、でもそこにいる存在です。