Tグループとは No.062 誕生から75年さらなる発展のためのパラダイムシフトに向けて:社会構成主義という視点をもつ

 社会構成主義とは、私たちが事実だと考えてきたことが本当に事実なのかと、すべてに疑問をにもつことから始めます。目の前にあるすべてのものに何らかの名前を付けて、私たちは使っていますが、それはそれぞれの人にとって真実であると信じてその言葉を使っているに過ぎないのです。ある人が、レジ袋を「れじぶくろ」と呼ぶことで、その人が考えるレジ袋を想像することができるかも知れません。ある人には買い物にとても便利なものであるかもしれませんが、ある人には環境破壊につながる代物かもしれません。

 「構築」主義は、世界が構成される現場を自分の「頭の中」あるいは「個人の内側」に意味づけおかれていると考えますが、社会「構成」主義では、「個人」ではなく「関係」にあるということを中心的な重要点として強調します。

 社会構成主義の特徴では、私たちが「現実だ」と思っていることはすべて「社会的に構成されたもの」だと考えことなのです。目の前に具体的に存在するものから、性格の優しさ、思いやりなど、またリーダーシップなども、誰か個人の中にとどまるものではなく、関わりを通して生まれてくるものと考えるのです。それは、私の感情も、さらには私という存在そのものも、私一人の中にあるのではなく、他者とのかかわりを通して生まれると考えるのです。

 K.ガーゲン(K. Gergen,1994,1999)は、「言葉が世界を創造する」と述べ、人は対話(ダイヤローグ)を通して意味を創り出していくと考えたのです。社会構成主義の基礎的な考えはとてもシンプルですが、非常に奥深くもあります。

 K.ガーゲンの議論に基づき、バー(V.Burr,1995)は「社会構成主義者になるために絶対に信じなければならないこと」として、4つの主要な仮定を述べています。

1.仮定される知識に対する批判的スタンスをもつこと
 ◎社会構成主義では、世界は、私たち自身も含めて、客観的で偏りのない観察によって、あるがままに知ることができるー私たちが知覚するものが現実のものであるーという伝統的な実証主義の考えに挑戦します。
 ◎社会構成主義では、「世界がどのように見えるかについての仮定を常に疑うべきである」と私たちに警告します。
 ◎私たちが世界を「知っている」カテゴリは、必ずしも実際の区分を反映しているわけではないのです。

2.歴史的および文化的特異性を考えること
 ◎私たちが一般的に使用しているアイデアやカテゴリーは、私たち自身の歴史や文化の特殊性に根ざしています。
 ◎世界を理解するためのすべての考え方やカテゴリーは、それ自体の歴史や文化の産物であり、文化的な成果物として見るとよい。
 ◎どの考えが正しいか正しくないかではなく、「徹底した多元主義」をとり、さまざまな価値の置き方に心を開くように私たちを誘います。(つんつん追記)

3.知識は社会的プロセスによって支えられていること
 ◎現在受け入れられている世界を理解する方法は、実際の世界からではなく、私たち自身が共有している世界の構成により生まれています。
 ◎私たちの日常の社会的相互作用や関係性が、私たちにとって真実であることの源泉となっています。
 ◎社会構成主義にとって、言語は、私たちが知っているように世界を創造するための不可欠なツールであり、私たちは私たちの間でそれを一緒に構成します。

4. 知識と社会的行動は共にあるということ
 ◎世界には多くの可能性をもつ社会的な構成物があり、それぞれが異なる種類の人間の行動を誘ったり、促したりします。したがって、世界の記述や構造は、社会的行動のいくつかのパターンを維持し、他のパターンを排除します。
 ◎社会構成主義は、人間の生活における権力のパターンや取り決め、そして言語がどのようにそれらを反映し、維持し、そして/またはそれに対して機能するかに、しばしば関心をもちます。

 このように見ると、私たちは「当たり前だ」と考えられているものすべてに挑戦することが可能であると考えられます。K.ガーゲンは、私たちが「問題」として取り扱っていることについて「構成」しているすべてのものを、「チャンス(機会)」として「再・構成」することが可能ではないかと投げかけています。とても興味深いことです。共に話し、新しい考えを聞き、問いを投げかけ、別の(代わりの)メタファーを考えることで、新しい意味の世界を生成することが可能になるのです。未来とは私たちが「一緒に創造する」ものなのです。

 これからのTグループは、特定の人の問題行動をその人が修正すべき問題行動と個人の問題として取り扱うのではなく、絶えず目の前の人と会話を続け、その行動の背景にあるその人が生き生きと生きられる、また生き生きと生きることができる源を探求しながら共に発見し創り出すことができることを体験すると共に、そのような関係に辿り着くためのアプローチを学ぶことができる場づくりが必要になるのです。そのことは、チームづくり、組織作りにおいて、その場に参加するメンバーが身につけるとても重要な態度でありスキルとなり得るのです。(つづく)