2012年度第4回体験学習実践研究会(『プロセス・エデュケーション』出版記念)を開催しました!

本日(2012年10月27日土曜日)午後1時30分〜午後4時45分、表題の体験学習実践研究会第4回を『プロセス・エデュケーション』をかねて開催いたしました。
参加者は、おかげさまで、大阪から、東京から、そして名古屋近辺から13名でした。出版記念のご案内をしていたので、体験学習実践研究会としては、初めて参加してくださるメンバーも何人か集まってくださいました。
13:31
会は、午後1時30分少し過ぎからスタートしました。
まずは、津村の簡単な挨拶の後、一人ひとり参加者の自己紹介と今の気持を伝え合うチェックインを行いました。
14:00
そして、その後、『プロセス・エデュケーション』の章立て構成の簡単な説明をさせて頂きました。
出版後の企画として、2つのプロジェクトを考えていることもお伝えし、協力をお願いしました。
一つは、先週の研修後からこのブログで公開していますように、『プロセス・エデュケーション』に掲載されている実習21を活用した研修・教育プログラム(クックパッドforプロエデュ)のデータベース化です。
もう一つは、本日の研究会で実施したように、特定の実習教材についての可能性の議論をデータベース化するプロジェクトです。エクササイズ・ディスカッションとでも名付けておきましょうか?読者のみなさん方のご議論もよろしくお願いします。
さて、今回の本題に入ります。
14:15
コンセンサス実習「これからの時代を生きるために」を行いました。この素材は、E.H.シャイン(1990)のキャリア・アンカーのアイデアを活用して、6つの力を取り上げ、どの力が大切かを2つ選択する課題でした。
まず、個人決定を行い、その後、グループを作り、集計表にまず転記をしてから、コンセンサスの留意点を伝えて、話し合いをスタートしました。
14:28
話し合いの時間は、ほぼ30分。
15:00
3つのグループのうち、1つのグループが2つの力を選択する合意形成ができました。他の二つのグループも、しっかり丁寧に選択肢を吟味されていましたが、前提を話し合うことに時間をしっかり使われ、最終的に2つの選択まではたどり着きませんでした。
後の実習に対するフィードバックでは、30分の時間は短かったとの意見が聞かれました。
15:10
ふりかえり用紙記入。記入後随時、休憩に入る。
15:35
ふりかえり用紙に記入した内容のわかちあいを行って頂きました。
16:05
全員で、最初のように大きな輪になり、このコンセンサス実習の教材に関してフィードバックを行って頂きました。
たくさんの意見を伝えてくださいました。
これから、このコンセンサス実習「これからの時代を生きるために」の可能性をいろいろ探究することができました。
以下に、津村のメモから、発言の順に従い、記録として残しておくことにします。また、参加者のみなさんで、ご意見がございましたら、ぜひ書き込みをお願いします。
・このメンバーだからこの実習ができたのではないかと思う。大学生が2行のメッセージを読み込み、コンセンサスをする実習ができるのか、・・・。学生の意識によるだろう。
・選択項目の中に、これはいやだと思う項目がないので、学生にとって、どれに決まってもいいやと思う学生が何パーセントかいるだろう。
・コンセンサスを成立させるためには、学生に前もって何か準備をするようなプログラムが必要なのではないかと重う。
・この実習は、前提となるものがちがうので、それを決めないといけなかった。→キャリアや働くということを学んでいくとよいだろう。
・2行の文章ではわからないのではないか。→「自主・独立する力」を読み取りにくかった。→シャインの話をして、理解していくことをまずするとよいかもしれない。
・「これからの時代」「どうやって働くために」というのが難しかった。「生きていくためには」とは『働く』ことなのかどうか、シャインの考えを理解するためには効果的であるかもしれない。
・2行の解釈がそれぞれ違うことから、これらを題材に話し合い、新しい自分たちが大切にしたいものを作るというのもおもしろいかもしれない。
・よって立つ土壌・条件が異なる。たとえば、働く人を対象とするのか、自分たちのことなのか?これからの若者のことなのか?限定した方が、話しやすいと思う。自分たちの事の場合には、かなり仕事の背景が違うので、コンセンサスを行うことが難しかった。
・異なる視点として、チームの中で大切なことは何か?といったチームの力を総合力として発揮していけることは何か、など考えてみるのもおもしろいのではないかと思った。
・奉仕・社会貢献する力は、解釈するのが難しかった。日本をもっとよくしたいという思いなのか・・・
・この実習をやった後に、自分の中に、これからの人生・仕事をよりよくしていくためにどんなことをしようと考えたり、何か残る体験になるといいと思った。それが、今回の実習でどのぐらい残ったのだろうか?→メンバー一人ひとりの立場はよくわかった。コンセンサスとしては難しかった。
・職種が違うロールをつけるのもおもしろいのではないかと思った。→学生、管理職、看護師、など。自分自身の立場ではなく、その人(ロール)の立場で考えるというのは・・・
・いろんな力を話し合いの土俵にのせるために、ロールをつける。特に、私たちのグループでは、管理の力が支持されなかったので、管理職の立場に立つとか・・一方、管理職というロール自身を知らないといけないので、学生にとっては逆に難しいのではないか・・
・仕事を考えるきっかけになる・・職種を考える。キャリア教育をする身としては、働くと言う意味を広い意味でとらえて考えていきたいが・・
・私たちのグループは、コンセンサスができた。バックグラウンドが似ていただけでない何か要因があるような気がする。
・これからの人たち・若い人たちにとってはこの実習は、私たちの今回のような話し合いではない展開が起こるかもしれない。たとえば、働いていない学生にとって、管理が大事という考える学生もいるのではないだろうか。職に就く前の学生と我々(職を知っている) とでは異なるかもしれない。
・経験がない人がコンセンサスをしやすいかもしれない。
・今日の話し合いの中で、自分自身は、もっと楽になってもいいのだということに気づいた。これまでしゃかりきになっていた自分がいた。チームやメンバーの話を聞いて、自分の価値観や考えのベースになるのではないか。
・これからの人にとって、今の若い人は?といったような設定にするのがよいだろう。「これからを生きていくためには」を強調すると、コンセンサスをすることができたのではないか。
・ふりかえり用紙とねらいとの関連が大事で、ふりかえり用紙を作るのは難しい。
・新入社員に対してするのも一つかなと思った。自分って何を価値観として生きている、仕事をしているのかを探求する菊花にあるのではないかと思った。
・高める、力、とか能力とか、連動しているので難しかった。
・また、誰がどの時点で選ぶかということは、この実習では大切になるのではないか。
・このねらいを達成するのは難しい。30分は短かった。
・管理看護師の研修でやってみたい。
・30分は短かった。「結果を出そう」という意識の結果、一体になって、コンセンサスに向かえた。
・研修が終わったばかりで、この研究会に参加してきたので、その影響で気づきがあった。リーダーシップの研修でも使えそうな気がした。
・コンセンサスを気持ちよくできた。みなさんが正直にその場にいたなあという感じ。職種/専門性だけではない感じがしてる。コンセンサスってこんな感じだったなあというのを思い出した体験ができた。
・この説明の解釈がメンバーによって違う。だけど、それがよかった。説明があいまいだからこと、こういう事ではないかといろいろな解釈が生まれて、話し合いがおもしろかった。
・コンセンサスが得られなかった。前提になるところが違った。しかし、そのことを熟考することができた感じ。前提が合意された。コンセンサスできたという感じ。
・前提として、これからの時代、社会に出て行く際にどうやって生きるといった、提示も考えられる。
・社会貢献というのは、力ではなく、思いではないかという意見も出た。
・おかあさんたちに、自分の子どもに対して、どんな力を大切にしたいのかということで、この実習を実施してみたい。また、逆に、子どもは何を大切にしようとしているのか?といった視点からの実習をやってみると、またおもしろいだろう。
以上、すべての意見を書き出せていないかもしれませんが、かなりたくさんのフィードバックをいただけたことは収穫でした。
このブログを読み、『プロセス・エデュケーション』に掲載されているコンセンサス実習「これからの時代を生きるために」を大いに、さまざまなバリエーションで試みてください。
そして、その結果をお知らせください。このブログにアップさせてもらいます。
研究会は、16:45頃終了しました。ご参加のみなさま、会場の片付けもお手伝いくださり、誠にありがとうございました。
次回は、11月17日(土)午後1時30分〜午後4時30分南山大学D棟6階会議室にて行います。ぜひ、ご参加ください。