昨日(12月20日)ファシリテーション検定試験をゼミにて行いました!!

2012年12月20日(木)午後3時15分から午後5時15分にかけて、我が南山大学人文学部心理人間学科ファシリテーション研究ゼミの今年最後の授業において、「ファシリテーション検定試験」を行いました。
 以前から、ゼミ生には、話をしていたのですが、ファシリテーションを学び、何を学んでいるのかを点検するために、「ファシリテーション検定試験」を行うことにしたのです。検定試験をするにあたり、どのような検定試験が適切か、いろいろ考えたのですが、結果として、3つの領域の試験を行うことにしました。それは
(1)基礎知識編
ファシリテーターとして、身につけておいてほしい基礎知識をどれぐらい理解しているかを確認する
(2)ファシリテーション・スキル編
ファシリテーターとして、ミーティング時にどのようなファシリテーション・スキルを活用することができるかを確認する
(3)プロセス介入(働きかけ)編
グループのプロセスを観察し、グループ・プロセスに着目してプロセスに働きかけることができるかを確認する
今回の検定試験では、以下の問題を行いました。そして、下記のような採点基準を提示して、自己採点をしてもらいました。
<基礎知識編>(100点)
問1:体験学習の循環過程とそのファシリテーションについて説明しなさい。(50点)
下記の視点が記載されていると、視点ごとに10点を加算する。
①4つのステップ(体験→指摘(内省・観察)→分析→仮説化)が記載されている
②4つのステップについて、それぞれの記述がされている
③体験学習を実施する意味や必要性、またその効果についての記述がある
④体験学習を実施するファシリテーションとはどのようなことかの定義が書かれている
⑤体験学習の場をつくることなど、体験学習のステップに関連させたファシリテーションの働き(津村は6つ上げている)を記述している
問:コンテントとプロセスとは何か、プロセスを観る視点について説明しなさい。(50点)
下記の視点が記載されていると、視点ごとに10点を加算する
①氷山図を描くなどして、コンテントとプロセスについて記述されている
②プロセスには、個人レベルやグループレベルのプロセスなど種々あることの記述がある
③個人レベルのプロセスの視点として3つ(行動、思考、感情)の視点が記述している
④グループ・プロセスについての要素(コミュニケーション、意思決定、ノーム、リーダーシップ、目標、役割、手順、雰囲気など)の記述がある
⑤特に、リーダーシップの2つの働き(機能)について記述があり、ファシリテーションの働きとしてこの2つの機能を考えることの旨が記述している。
<ファシリテーション・スキル編>(100点)
問:メンティが今気になっている課題を聴き、それを模造紙を用いて描き、中心となる課題を見つけなさい。(視点ごとに10点)
写真(検定:ミーティングスキル編).jpg
①ミーティング終了時に、相談者(メンティ)にとって、共感や納得感を感じることができたかを相談者の主観で採点する
②拡散思考的ミーティングを行い、20以上のアイデアが出されているか?(20以上→10点、15以上→7点、10以上→5点)
③収束思考的ミーティングに切り替えて、中心課題を3つ以内に見いだすことができているか?
④問いかけ(1)相談者の問題に関して、行動・思考・感情の視点から問いかけているか?
⑤問いかけ(2)相談者の問題に関して、過去・現在・未来の視点から問いかけているか?
⑥問いかけ(3)相談者の問題に関して、長所-短所、good-badのように2局面から問いかけているか?
⑦問いかけ(4)相談者の問題に関して、チャンクアップ、チャンクダウンといった抽象のはしごを行ったり来たりできているか?
⑧問いかけ(5)相談者の問題に関して、全体を見渡し、問題の焦点づけをする問いかけをしているか?
⑨相談者にとって、思いがけない課題を発見した思いがあるかを相談者の主観で採点する。
⑩模造紙を観ることで、第三者がミーティングの過程を理解できる、そのような模造紙の使い方をしているか?
<プロセス介入(働きかけ)編>(100点)
問:グループ討議を観察して、タスク・プロセス、メインテナンス・プロセスへの働きかけを2つずつ、考えなさい。
写真(検定:プロセス介入編).jpg
※ 3年生10名がグループ討議を行うのを検定受検者がグループ・プロセスを観察する。
※ 検定受検者は、そのグループ・プロセスを観察しながら、タスク・プロセスとメインテナンス・プロセスへの働きかけの可能性(選択肢)を記していく。
このプロセス介入編の検定試験は、まさに生ものなので、基準を具体的・かつ明確に書くことは難しいですが、以下の視点からの記述ができればよいと判断しました。
①2つのプロセス(タスクとメインテナンス)の識別ができている
②働きかけのいくつかを記述できている。(直接指示する働きかけ、気づきを確認する働きかけ、感情反射や解釈に基づいた働きかけなどReddyの働きかけの立方体が理解できているか)
③働きかけのレベル(グループ、対人関係、個人への焦点づけ)が意識されているか
④BeckhardのGRPIモデルが意識された問いかけができているか
⑤ReddyのRoadマップを意識した問いかけがなされているか
というような視点から検定試験を行いました。もちろん、テキストは「プロセス・エデュケーション」(金子書房)です!!
検定試験のPassは、いずれの領域でも80%を基準にしようと考えていましたが、クリアする学生はいませんでした。
結局、この検定試験を考えていく過程で、津村が学生に求めていること、それは、こうした視点から授業を展開しているかということを自ら問うことになったのです。検定試験を学生がPassできなかったということは、津村が授業で十分な学びの場を提供していないということになります。
まだまだ、いろいろと検定試験問題は考えていきたいと思います。もちろん、それに併せて、採点基準も吟味していく予定です。
まずは、再度、この基準をもって、現ゼミ生を対象に再試験を実施することかな・・と考え始めています。