ジュウシマツの子育てから学ぶファシリテーターの介入の心得

 皆さん、ジュウシマツという小鳥、御存じですか?
 我が家に、4、5年前に1羽飛び込んできて、しばらく1羽だけを飼っていたのですが、母親が亡くなり、母親が可愛がっていたこともあって、パートナーを小鳥屋さんから買ってきました。どうも、飛び込んできていたのは、メスで、元気のいいオスが一羽、パートナーとして見つかりました。やっぱり、小鳥でも相性と言うものはあるようで、しばらく、小鳥屋さんでオスを一羽いれて、様子を見ていて、喧嘩をせず仲良く過ごせそうな相手を見つけてきました。
 もう、帰ってくる車の中から、仲がいいこと、これまで一人暮らしをしていたメスは、2人の世界、いや2羽の世界を楽しんでいました。二人の愛の巣、丸いたこつぼみたいな形をしたものも入れてやりました。
 なんと、ほんの数日すると、愛の巣に、卵が生まれました。一日ごとに一個ずつ、結局4個の卵生まれました(正確には、5個で、1個は孵りませんでした)。いや、それからは、こちらも、毎日が楽しみで、よーく観察をしていました。
 ところで、鳥が初めて飛ぶ時、いや、飛ぶことをどのように学ぶのでしょうかね?生得的に、飛ぶことを身につけていて、なんの躊躇もなく、飛ぶことが、小鳥たちはできると思いますか?結構、これが面白かったのです。私は、鳥類に詳しい学者でもなんでもありません。まさに、素人の目が見た、小鳥の巣立ち、飛び立ちは、興味深ったです。
 卵から雛にかえり、日増しに育っていきます。それは、それは、やかましい程、ピーチクパーチクと母親(鳥)、父親(鳥)から餌をもらいます。ここでも、個体差はかなりあるようです。すばやく、餌を取って食べる子ども(鳥)と、いつも後に後になると子ども(鳥)がいるもんですね。そして、それが身体の大きさと比例するから、循環します。当然ですが、面白いです。
 以前、私は伝書鳩を飼っていて、鳥の恐い世界は見たことはあるのですが、本当に生々しいですよ。傷をおった鳥は、とことん、虐め抜かれるんです。血みどろになってもまだまだつつかれるのです。そこに、動物性の恐さを見る思いがします。
 で、飛ぶ時です。小鳥が成長して、飛ぶ時、どの鳥もさっと飛べると思うと、どうも違うんです。そして、それも、一人の力でなく、母親、父親も力を貸しているのです。
(1) 我が家のジュウシマツ君の場合、飛べるだけの身体になると、親鳥が、巣の前で、一生懸命、羽をバタバタと羽ばたき、子供達に見せるんです。分かります?こんなふうに羽を動かすんだよって。それは、それは、熱心です。特に、我が家の親鳥は、母親が熱心でした。父親、ちょっとばたばたして終わり。手抜きです。この父親は、私の姿を見ていたのかも知れません?!母親は力を入れて、バタバタと、羽ばたきのモデルを示します。そして、子供達は、それを見て、バタバタ。巣から、飛ぼう、飛ぼうとするのですが、恐くて、飛び立てません。結局、恐る恐る、飛べなくて、歩きながら、巣の上にあがったり、戻ったり、暫くしていました。それでも親鳥は、時には巣の前に立ち、バタバタしたり、飛んでみせたりして、モデルを示すのです。
(2) 上手くいかない場合、親鳥は次に、何をするのか想像できますか?親鳥たちは、巣の中に入って、小鳥たちの後ろに回り、自分の子供達を後ろから、トンと押すんです。小鳥たちは、クッと前のめりになり、こわごわですから、身体の重心が後ろにさがります。飛べないんです。でも、それでも、突いて押すんです。突き落とすようにしているといってもいいでしょう。でも、突き落としはしないのです。これが、なかなか心得た働きかけなんですね。
(3) そして、子どもの鳥たちの中で、勇気ある者というか、向こう見ずな鳥が、飛ぶというか、落ちます。そして、覚えていきます。後は、トライしながら学んでいっているみたいです。どこに、どのように着地するか?どのように力を入れて羽をばたつかせると、元の位置に戻れるか?など。そして、兄弟姉妹のうちの誰かが、行動を起こすことが結果としては、他の鳥たちに勇気を与え、飛ぶことを覚えさせるみたいです。
 以上が、ジュウシマツの子育てを観た、津村の観察記録です。
 ジュウシマツの子育てから学ぶファシリテーターの介入の心得
(1) 一人ひとりの違い、影響の与え方は、しっかり見ること
(2) しっかりモデルを示すこと。諦めずに、そして、相手に向かって、また時には、相手と同じ方向から見てモデルを示すこと。
(3) それでも、動けない時には、ちょっとプッシュすること。時には、しっかりプッシュすること。だけど、相手にダメージを与えるような、プッシュの仕方は禁物。
(4) 勇気ある新しい行動がとれたことへの評価、強化はしっかり行うこと。
(5) 同じように他の仲間も新しいことへのトライができる環境づくりも大切にすること。