易経に学ぶファシリテーション(01)

■ファシリテーター、ファシリテーションとは■
 本シリーズを書き始めますと宣言してから4日も経ってしまいました。いよいよスタートします。
 まず、ファシリテーターやファシリテーションについていろいろな考え方や定義があろうかと思いますが、津村(2012)は、下記のように定義させて頂いています。
「ファシリテーターとは、プロセスに働きかける(介入する)ことを通して、グループの目標をメンバーの相互作用により共有し、その目標達成することとメンバー間の信頼感や一体感を促進する働き(ファシリテーション)する人」と考えています。
 この定義の中のキーワードは、「プロセス」、「グループの目標」、「目標達成」、メンバー間の信頼感」でしょうか?
 「プロセス」は、グループの中で話し合っている話題である「コンテント」と対比して、グループの中で起こっていること(関係的な過程)を指しています。テーブルの上に乗って議論している活動内容「コンテント」と同時に比喩的に言うならテーブルの下で起こっている「プロセス」も大切にしながら関わることがファシリテーションでは大切になります。いわゆる議題をアジェンダと呼ぶように、テーブルの下で起こっていること(プロセス)をヒドンアジェンダ(hidden agenda)と呼んだりします。プロセスの考え方はこのヒドンアジェンダから来ているのではないかと思います。ファシリテーターが、議論の中に飛び込んでしまったのでは、メンバーと変わらないし、影響力が強い人であるならば、ファシリテーターではなくリーダーと呼ぶ方がふさわしいかもしれません。
 今グループの中に起こっていることに光をあてながら、まずは、グループが取り組む「目標」を明確にしたり共有したりすることを支援するのがファシリテーションの大切な働きになるでしょう。そして、その目標のもと「目標達成」と「人間関係の維持と形成」に向けてグループのメンバーが自立的に動けるように働きかけていくのがファシリテーションといえるでしょう。このファシリテーションの視点と働きかけはかなり複雑で、とても難しい技能を必要としています。
 これらの働きの極意を「易経」(竹村あっこちゃん著)から学ばせていただこうと考えたのです。
 またまた、序章で終わりました。次回こそ、「易経」の入り口に立ちたいと思います。