対話型組織開発を知る

対話型組織開発(Dialogic OD)とは

 組織開発(Organization Development、一般に頭文字をとってODと表記)は、1940年代、K. Lewinと仲間たちによる活動から始まったとされます。近年までのODは、計画された変化、アクションリサーチ、人間性心理学、グループダイナミックス、リサーチサーベイなどを活用しながら、発展してきています。ODの進め方として、一般的に、データ収集、データ分析と診断、フィードバック、そして計画した介入を計画・実施、評価といった一連のアクションリサーチのステップを踏むことがODの一つの定着した手法でした。このようなアプローチを診断型OD(Diagnostic OD)とよばれます。

 一方、フューチャー・サーチやAIアプローチ、ワールドカフェなどのように、対話の場を通して、診断のプロセスを通らず、現状を話し、目標や夢を描き、その目標に向かって組織の変革を試みようとする組織開発のアプローチをブッシュとマーシャクは、(G.R. Bushe & R.J. Marshak, 2015)は、対話型OD(Dialogic OD)とよび、これからの組織開発にとってもう一つの大切なアプローチとして紹介しています。

 これら2つのタイプのODは、Tグループの体験がベースになっています。いずれのタイプのODにおける働きかけも、Tグループを核とした学びから誕生しているのです。以下に、いくつかの対話型組織開発の紹介をします。これらの他にも、さまざまなアプローチがあります。

 

ODイメージ▲AIアプローチ勉強会学び成長宣言
対話型ODを学ぶためのWEBページ:AIアプローチの勉強会などのご案内をしています。


ホールシステム・アプローチとは

 ホールシステム・アプローチとは、組織やコミュニティのさまざまなステークホルダー(関係者)が、一室に集まり、上下関係や横の関係の垣根を取り払って、参加者全員で現状の課題を共有しながら、組織やコミュニティの将来を見据えた変革に向けて新しい風土づくりに取り組もうとするエネルギッシュな試みの場の総体として呼称されています。
 その一つとして、さまざまなステークホルダーを集めたミーティングを構造化したプログラムとして、フューチャーサーチやAIアプローチなどがあります。

ホールシステム・アプローチ関連記事


フューチャーサーチとは

 M.Weisbord(1987)が考案し、その後S.Janoff氏とともに、組織開発のホールシステム・アプローチの一つの試みとして実践されいます。コミュニティや組織にかかわるステークホルダー(基本的には、8種類の関係者×各8名、64名)が一室に集まり、過去をふりかえり、現在の特徴や傾向を考え、未来に向けてのコモン・グランド(共通の方向性、共通の価値)を参加者全員で合意します。そして、その目指す未来に向けて行動計画を立て、その活動を維持する方法です。本来のフューチャーサーチの活動としては3日間ぐらいをかけて、ていねいに過去のコミュニティや組織を探求し、コミュニティや組織の中や周りに現在起こっているの傾向(特徴)を見つけ、その傾向に対する参加者の責任なども問いながら、コミュニティや組織の未来をともに創造します。それらの過程を通して、コモン・グランドを見つけ出し合意する作業がとても大切になるのです。各アクションプランごとに生まれた活動をフォローアップするような活動も組織変革を維持するためには大切になります。

フューチャーサーチ関連記事


AIアプローチとは

 AIアプローチのAIとは、Appreciative Inquiryの頭文字をとったものです。従来の問題解決のアプローチでは、問題点を探し出し、その問題点を改善するためのアクションプランを立て、実施し評価するものでした。このアプローチでは、いくら改善しても問題が生まれ、改善が求められることが起こり、組織が疲弊していく可能性がありました。AIアプローチでは、組織や構成員のもつ真価(Appreciative)を発見するための問いかけ(Inquiry)を大切にします。D.Cooperriderにより開発されました。個人がもつポジティブコア(生き生きとする源)を探求・発見し(DISCOVERY)、その結果組織として夢(DREAM)を描き、その夢の実現に向けて必要なシステムを考えて(DESIGN)、それに向けてアクションプラン立てる(DESTINY)といった4つのDを実践することが一連のプログラムです。その結果、組織の構成メンバーが、目の前で起こる事柄をアプリシエティブにとらえる視点をもてるようになることもひとつの目標でもあります。

AIアプローチ関連記事


ワールドカフェとは

 ワールドカフェは、J.ブラウン(2002)によって開発された手法です。ワールドカフェは、2時間ぐらいの時間を費やしながら、真実の対話をはぐくむプロセスです。ワールドカフェの活動では、集められたステークホルダーにとって魅力的な問いが出され、テーブルの上に模造紙とペンが置かれ、その小さなテーブルを囲んで対話を行います。20〜30分ぐらい経過後、一人(テーブルホスト)を残して、メンバーは他のグループに移り、新しいグループを作ります。テーブルホストは、話し合われていた内容をやってきた他のメンバーに話します。このプロセスを3回ほど繰り返します。さまざまな対話の体験が参加者の間で新しい広がりを創り出したり、新しい行動を生み出すことを可能にするのです。このありようを他花受粉とよばれたりします。

ワールドカフェ関連記事


OSTとは

 オープン・スペース・テクノロジー(以下OSTと略)は、1985年にH.Owenによって提唱されました。今日まで世界中の組織において実施され、組織やコミュニティの新しい可能性の扉をOSTは開いてきています。オープン・スペースでは、参加した人は、関心のあるテーマで異なる価値観や環境の違いを超えて対話が起こり、共通の理解が生まれます。新しいアクションに向けて、「責任」や「ボランティア精神」が必要になります。参加者の自発的な関与で生まれたその場はエネルギーの高まりを感じることができるほどのパワフルな場となります。

OST関連記事


フューチャーセッションとは

 フューチャーセッションは、北欧の知的資本経営領域で生まれたフューチャーセンターで行われるセッション(対話の場)です。社会で起こっている複雑な問題を、ステークホルダーとの対話を通して未来志向で解決することを目指す社会変革装置といわれています。フューチャーセッションは、思いをもった人の大切な「問い」から始まります。その問いによって、多様性のある参加者が集められ、フィッシュボウルやワールドカフェなどの対話の方法を用いて、参加者同士の関係性を深めながら、アイデアを拡散していきます。さらにそのアイデアを即興劇や未来新聞、未来シナリオ等を用いて具体的な形するプロトタイピングはフューチャーセッションの特徴的なアクションです。これらの一連の過程を通して、セッションに参加した人々に協調性と変化を起こす力を与えてくれるのです。

フューチャーセッション関連記事


カテゴリー