ラボラトリー体験学習を知る

体験学習の進め方について

実習はいつも必要?

q体験学習を実施するということは、何か”実習(exercise)”を行わないと成り立たないのでしょうか?それとも”実習(exercise)”をしなくても成り立ちますか?

 

a成り立ちます。
いつも実習を行わないとラボラトリー方式の体験学習が実施できないということはないと考えています。体験学習の体験のステップにおいて、学習者が体験するグループ体験として、一つは、Tグループのような比較的構造化が低いグループ体験と、もう一つは、ファシリテーターが準備して課題などが比較的明確に示された構造化が高いグループ体験があります。Tグループは、共に過ごすメンバーと場所と時間が決められていますが、後の話題や手順などは何も決められていません。こうしたグループ体験を構造化が低いと表現されます。それに反して、情報紙をもって問題解決をしたり、コミュニケーションの話題がファシリテーターから提示されて、観察者をおいてコミュニケーション実習をしたりすることは、話題や手順が決まっていることから構造化が高いと表現されます。Tグループのような構造化が低いグループ体験の中から自由に学びの環境を作り、関わりを促進し学びを深めるファシリテーターには高度な能力が必要とされます。それに比しては、実習を用いたラボラトリー方式の体験学習の実施者としてのファシリテーターは、体験の構造が明確であること、またその体験からふりかえるためのふりかえり用紙などが準備されていることから比較的実施しやすい面があります。
ただ、もっと体験の場を広げてみると、ファシリテーターが準備する体験の場だけではなくて、日常生活の体験も学びのための大切な体験といえます。すなわち、何かの実習をしないと体験学習ができないかというと、そうではありません。
ラボラトリー方式の体験学習とは何か、その基本を理解していただけると、そこからの発展・応用と幅広く可能性が広がっていくことでしょう。学級集団の中で、何か一緒に仕事をした、勉強をした時に、教員が子ども達にどのような言葉かけをするか、どのような働きかけをするかで、ラボラトリー方式の体験学習の考え方が生かされた学級運営が可能だと考えています。一緒に、野外で飯ごう炊飯をした後で、とか教科学習(国語でも、理科でも、社会でも、算数でも)で何かグループワークをした後で、どんな体験をしたか?一人ひとりがどのようなことを感じたり考えたりしたか?誰がこのグループ活動に影響を与えていたか?など、問いかけることで、一人ひとりがどのようにそこにいたか?影響を与え合った関係があったか?こうした問いかけと生徒と共に考えることを通して、一人ひとりの存在の意味をしっかりと身につけていくことができると考えています。逆説的に言えば、体験学習と銘打って、何か実習をしたとしても、その後で、その体験のふりかえりが適切に行われなければ、『体験学習』といえないでしょう。
質問に対する答えとしては、上記の基本的な考え方を大切に実施していただければ、さまざまなグループ活動は、ラボラトリー方式の体験学習の実践の場となりえます。
最後に、子ども達に意見を求めるときに、この答えが正解・不正解といった枠をもたずに聞きたいものです。子ども達のいずれの発想も正解であり、それら(肯定的な意見も、否定的な意見も)をオープンにできるようになることが、学級に信頼の風土を創り上げられていくと考えたいものです。当然、子どもが教師を信頼してくれるようになるということも含まれています。


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