ラボラトリー体験学習を知る

体験学習の進め方について

グループワークで役割をあらかじめ決めない意味は?

q実習を用いた体験学習でグループワークをする際に、あらかじめ進行係やリーダーを決めずに実習を行いますが、何か理由がありますか?よく、ふりかえり用紙を記入し、分かち合いをしていると、リーダーを決めてやるとスムーズにできたのではないかとか、逆に役割を決めていなかったので自ずと役割ができていたのがよかったなどといった声を聞きますが、役割を決めない理由を教えてください。

 

a私が実習を用いた体験学習をする際には、ロールプレイによる実習などのように役割や手順など課題の進め方を明示しない限り、進行役などの役割を決めることは基本的にはありません。
それは、全く何も役割が決まっていないグループ活動をする中に、参加者一人ひとりの参加の仕方やコミュニケーション、影響の及ぼし合いが生まれるところに、大きな学びの要素が有ると考えているからです。まさに、それがラボラトリー方式の体験学習の大切な学び方であるともいえます。
何か役割が決められていると、役割をもつ人ももたない人も、行動を引き起こしたり引き起こさなかったりした理由に、その決められた役割に原因帰属(理由づけ)をすることになるでしょう。何もないところから、生まれるところに、その人の他者へのかかわり方やグループへのかかわり方のありようのデータを拾い集め、素朴にそのデータを吟味することができると考えています。
情報紙を用いた問題解決実習において、情報紙を分けもち、その情報を出し合って、一つの回答を得たり、地図を描いたりするグループワークは日常にはない非日常のトレーニングの場面と言えるでしょう。しかし、そこに起こっている一人ひとりの他者へのかかわり方のありようは、まさにリアルなものそのものなのです。だからこそ、学習者一人ひとりが、そのプロセスから学ぶことに強いインパクトを受けることになるのでしょう。仕事は非日常的な実習でも、そこに起こることはリアルな関係(事実)であり、ファシリテーターが学習者の学びの大切なデータとして取り上げていくことが重要であると考えています。
また、役割が決められると、その役割に従い、行動はかなり制限を受けることになります。記録係になると、記録をすることだけに終始し、それ以外の仕事や働きをしなくなるでしょう。進行役になると、仕事を進めることに意識は向けられ、自由な発想での発言や疑問などを投げかえることが少なくなることがあります。役割が与えられない中で、自由にグループ討議ができるようになることは、それぞれがリーダーシップを自由に発揮できるようになることであり、グループ活動にクリエイティブさが生まれる可能性があります。学校教育の現場で、ラボラトリー方式の体験学習を実践し、子どもたちが自由な発言を行うことができるようになると、教科学習における協同学習の創造性を生み出す豊かなグループ活動を可能にすると考えられます。それだけ、役割にとらわれずグループ活動ができるようになることは大切であると考えています。


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